天敵撃ちで連敗脱出だ。阪神福留孝介外野手(39)が巨人マイルズ・マイコラス投手(28)に、きつい1発を見舞った。今季初の敵地での伝統の一戦。1回に先制2号3ランで巨人投手陣の0行進を33イニングでストップ。対マイコラスに8度目の挑戦で初めて土をつけるG倒の主役を張った。チームの連敗は2でストップ。巨人との同率2位に浮上だ。

 福留がうっぷんを晴らした。初回。高山、糸井の連打で迎えた1死一、二塁。カウント1-2から巨人マイコラスのカーブだった。右足を踏ん張り、捉えた打球は、きれいな放物線を描いて右翼席に着弾。先制の2号3ランとなった。「前のバッターがチャンスを作ってくれたので、とにかく先制できるようにと、打席に入った。たまたま最高の形である、ホームランになった」と喜んだ。

 この日は三塁打が出れば、自身3度目のサイクル安打達成という固め打ち。それでも「昨日、一昨日と俺が打ってれば…という場面が多々あって、チームに迷惑を掛けたから」と気持ちを吐露した。前日20日中日戦では3度の得点圏で凡退。悔しさとふがいなさを押し殺し、試合後は無言でバスに乗り込んでいた。

 見事な天敵攻略だった。チームにとって、15年5月21日の初顔合わせから、マイコラスには7試合で1度も土をつけたことがなかった。対戦防御率は1・80に抑え込まれていた相手を沈めたのは、虎のキャプテンだった。今月26日に40歳となる男は「トリ(鳥谷)から預かる」とCマークをユニホームに着けた。4日ヤクルト戦。藤浪の畠山に与えた死球をきっかけに両軍入り乱れての大乱闘に発展した。ぼうぜんと立ち尽くす藤浪に、歩み寄ったのは福留だった。「臆せずにいけ。ひるむな!」。折れそうになる後輩の心をつなぎ留め、奮い立たせた。

 2日前の19日は長女桜楓(はるか)ちゃんの6歳の誕生日だった。遠征中で直接会って「おめでとう」は言えないが、鮮やかなアーチがプライスレスのプレゼントとなった。「また明日だね」。いつもの言葉を残してドームを後にした背番号8。家でもチームでも。頼れる大黒柱だ。【桝井聡】

 ▼阪神は1回、福留がマイコラスから先制3ラン。阪神の打者がマイコラスから本塁打を放ったのは、15年7月11日(東京ドーム)4回の福留以来2本目、154打者ぶり。阪神がマイコラス登板中に1イニング3得点を挙げたのは初となった。福留は3、5回にも安打。マイコラスから1試合3安打した阪神の打者は、16年7月18日の高山3安打以来、2人目。