阪神北條が天敵マイコラス攻略の一戦で存在感を示した。2点リードで迎えた5回2死満塁。2球のファウルなどで粘り、フルカウントからの7球目。低めの真っすぐを見極め、押し出し四球を勝ち取った。「しっかり見極めようと思いました」。貴重な追加点を奪い、本人も納得の表情だ。

 バットでも息を吹き返しつつある。4回1死でマイコラスが2球目に投じたスライダーをジャストミートし、二塁打。これで4試合連続安打。開幕戦から13打席ノーヒットやスタメン落ちを経験した若虎の思い切りのいい打撃が出始めた。

 派手な活躍ではないが、対右腕で結果を残したことに意味がある。前カードの中日3連戦は先発投手はすべて左投手だったため先発起用されたが、その前の広島3連戦では先発メンバーから漏れていた。鯉の先発3枚が右投手だったためだ。北條の今季対右投手打率はまだ1割8分9厘だが、昨季3打数無安打だったマイコラスとの対決ということも踏まえると、この日みせたしぶとさの価値は小さくない。

 北條の起用に金本監督は「去年の経験もあるし、もちろん、彼がレギュラーではないが…」と話した。本人も「右投手を打たないとレギュラーにはなれない」と気を引き締める。チームも大きな勝利だが、北條にとっても、大きな1日になったに違いない。【山川智之】