この放物線が見たかった。2点リードで迎えた5回。阪神中谷が豪快なフルスイングで大野のツーシームを捉えた。左翼席に飛び込む1号ソロ。「追い込まれてしまったので、三振しないことだけを考えて振った」と話した。

 25日のDeNA戦は5番に抜てきされ、4打席連続三振。初回の守備のミスで気落ちし、最悪の結果だった。当日は苦言を呈した金本監督は「中谷にもう1回チャンスをやらなアカンやろ」と、すぐチャンスを与える考えだった。そんな願いを起用にこめた。前日27日には代打で二塁打を放ち、この日は先発1番で本塁打。金本監督は苦笑まじりに「まだ引きずっている顔はしているけどね。今日もあの追加点はめちゃくちゃ大きかった。自信を持って、やってほしい。とっくに忘れればいい。悔しさだけ秘めたものをプラスに変えていく」と言った。

 中谷は7回はバントを失敗し、結局空振り三振。試合後は表情に悔しさがにじんだ。「いいことはプラスにして、課題も多かった。(4三振は)悔しかったし、1試合1試合をしっかりやっていく」。4三振の悪夢を教訓に、中谷ははい上がろうとしている。【田口真一郎】