ピッチを上げ、形を変えて広島中村祐が勝った。1回は「体と頭が一致していなかった」と、いきなり先頭の桑原に四球。続く梶谷の初球がボールとなると、捕手会沢が歩み寄り、内野陣が集まった。「落ち着いて腕振ってこい」。その後3安打を浴びて2失点したが、セットポジションでの投球に手応えはあった。思い切って勝負に出た。

 味方が逆転して立った2回のマウンドでは、ワインドアップをやめてセットから入った。2軍でもやったことのない挑戦にも「変えないとズルズルいってしまう。とにかくやってみようと」と腹を決めた。ムダな力が抜けて制球も安定。会沢も返球のテンポを上げ、球威もどんどん上がった。6回2死一、二塁のピンチでは荒波を中飛に打ち取り、グラブをたたいた。

 これで球団史上初のデビューから2戦2勝をマーク。「まだまだ自信はないです」と謙虚に語るが、プロ初安打もマークし、マエケン2世と呼ばれたセンスは開花目前だ。次戦先発は日程の都合上未定で、先発、中継ぎともに可能性はある。「他の投手を見ながらの起用になると思う」と緒方監督も説明。戦力のなかに、21歳は確かにいる。【池本泰尚】

 ▼4年目の中村祐がプロ初登板の3日中日戦に続いて2戦目も白星。プロ4年目以上の投手がプロ初登板から2戦2勝は、03年に5年目の石堂(ヤクルト)が4戦4勝して以来、14年ぶり2人目。広島では新人や2、3年目の投手を含め、デビューから2戦2勝したのは中村祐が初めてだ。