広島鈴木誠也外野手(22)が、意地の一打で逆転勝利を導いた。2点を先制された初回に反撃口火の適時二塁打。この回4点を挙げ、合計9得点の大勝を演出した。前日は敗戦につながる守備のミス。その悔しさを一撃で晴らした。同じく前日ミスした安部やエルドレッドらもバットで奮闘。カープナインの意地が結集し、首位阪神に再び1・5差に詰め寄った。

 悔しさをバットに乗せた。2点を先制された直後の1回1死一、二塁。鈴木が外角球を右中間にはじき返した。これで4試合連続打点。「点を取られた後にすぐ1点返せて良かった」。4番の一打が反撃の合図となり、この回一挙4得点で逆転。チームは9得点の快勝で、2カード連続の勝ち越しを決めた。だが打った直後の鈴木は、硬い表情を崩さなかった。

 前日17日DeNA戦の悔しさが残る。3点リードの9回1死一、二塁。右翼前方への打球にスライディングキャッチを試みたが後逸し、流れを変えてしまった(記録は2点三塁打)。結果、大瀬良の勝ち星は消え、チームの連勝も止まった。

 一夜明け、同じルーティンで試合に臨んだ。早出特打に参加し、全体でのフリー打撃では強振。ただ表情は硬く、怒りを押し殺している雰囲気を漂わせていた。打撃コーチの指示が書かれたホワイトボードには「やり返すんじゃない! 取り返すんだ!!」の文字。鈴木も「引きずっているところはあったけど、守備と打撃は別。打撃でも考えるところがあった」。打撃の状態を上げることに集中し、好結果に結びつけた。

 同じく前日、守備でミスした安部は逆転の2点打を放った。「(挽回する)絶好のチャンスだと思った。(鈴木は)ロッカーで悔しがっていた。そんな姿勢を見て、つなごうと思った」。今の広島は倒れても、ただでは起き上がらない。緒方監督も「ミスしても取り戻して、挽回する姿を見せてくれるのは、成長している証拠」とうなずいた。首位阪神に再び1・5ゲーム差。虎の尻尾は離さない。【前原淳】