中日松坂大輔投手(37)がランチ特打に臨み、サク越え2本でスタンドを盛り上げた。

 山井、吉見、大野雄と4人でバットを握り、53スイングして安打性は16本。2打席目に初めてオーバーフェンスすると両手を上げてガッツポーズ。横浜高時代から打撃センスは有名で、期待感をMAXまで高めていた観客はどよめきとともに大きな拍手で喜んだ。期待に応えた松坂は「重圧もあったけど、入ってよかったです」と笑顔でメイン球場をあとにした。

 「助演」の存在も大きかった。隣のケージに入ったのは大野雄。岩田投手コーチがゆるやかな球を投げていたこともあり、飛距離はさほど出なかった。最後の3打席目、場内の気配を察した大野雄は「ホームラン打ちます!」と叫んで、笑わせた。叫び声を上げながらフルスイングを繰り返した結果、惜しくもサク越えは果たせず。完全に引き立て役に回ってしまった。

 大野雄は昨年、40打数無安打。さほど打撃は苦手ではなかったが、森監督は前日2日に「1安打も打てず7勝に終わった投手(大野雄)もいる。2本、3本打っていれば1勝できたかもしれない。そのうち松坂と大野を並べて打たせる。それで大野がどう思ってくれるか」と松坂の高い打撃への意識を、周囲に波及させたい考えを明かしていた。

 松坂の独り舞台で昼のショータイムが終わると思われたが、吉見が意地を見せた。最後の最後にジャストミートした飛球は左翼席芝生に着弾。客席からはこの日一番の大きな拍手が起きた。クールに打撃練習をこなしていた吉見も思わずバットを放り投げて喜びを表現した。

 森監督や岩瀬らが見守ったほか、京田も三塁ベンチから熱視線を送った。ブルペンだけでなく、バットを握っても注目を浴びる松坂の役者ぶりがあらためて際立った。