プロ12年目の日本ハム杉谷拳士内野手(29)が10日、出場選手登録日数が9年に達し、海外フリーエージェント(FA)権を取得した。ロッテ戦(ZOZOマリン)の試合前に、現在の心境を明かした。

杉谷 そうですね、本当に12年間、プロ野球選手として育てていただいた球団には、すごい感謝の気持ちでいっぱいです。もう海外に視野が開かれた今、吉村GMを始め、日本ハムグループの皆様はみんな、頭を抱えておられると思います。しかし、ここ一番大事なところね。「杉谷拳士は杉谷拳士でしかありません」。(報道陣の反応が薄く)えっ? 違う何か? ナンバーワンよりオンリーワン。杉谷拳士は杉谷拳士でしかない。そういう気持ちを伝えたい、と。

08年ドラフト6位で日本ハムへ入団。プロ入りと同時にスイッチヒッターに挑戦し、2年目の10年にはイースタン・リーグ記録の133安打を記録。11年以降は1軍に定着し、スタメンはもちろん、代打や代走、内外野も守れて、ムードメーカーの役割までこなす超ユーティリティープレーヤーとして9月9日時点で通算633試合に出場し、252安打、87打点、14本塁打、打率2割2分2厘。今季も49試合に出場。元気よく、若々しいプレーを披露している。オフにはオーストラリアで自主トレを行う杉谷は英語も堪能。「英語のコメントも載せて欲しいんですけど」と今の気持ちを海外へ向けても発信した。

杉谷 Thank you for always treating me like a family. Share happiness through baseball

英語メッセージに込めた意味は「家族のように接していただき、ありがとうございます。ファンじゃなくて全員に向けて。最後に、なんだろうな。最後英語で締めくくりたいから。野球を通して幸せを共有しましょう的な。どうですか、海外FAっぽいでしょ」と説明した。

その様子を見た矢野外野守備コーチ兼打撃コーチ補佐は「何、偉そうに取材受けているんだよ。何やったんだよ。(海外FA取得です)いけいけオラ。行使しろオラ」。鶴岡は「何したの?」の杉谷に尋ねた。「海外FAです」との回答を得ると「行使して。チームのために行使してくれよ」。そして、栗山監督は杉谷の海外FA取得を伝え聞いて「マジ? 聞いとくよ。海外FA? ケンシ、海外合うかもしれないね。無類の明るさ、人間にとって一番大事な要素だから」と笑顔だ。

愛あるイジりを受けた杉谷は「まだチームが戦っている最中なので、全力を出して1試合1試合しっかり準備していきたい」と今は目の前の戦いに集中していくことを宣言した。