<ソフトバンク3-4楽天>◇20日◇福岡ヤフードーム

 投手交代を告げるアナウンスに、スタンドがどよめいた。1点リードの9回に楽天のマウンドを託されたのは、3日前に9回142球を投げたばかりの田中。とっておきの切り札が、圧巻の投球で試合を締めくくった。

 「1イニングなので、とにかく思い切り投げた」と言う。多村を1球で三ゴロに片付け、長谷川、田上は連続三振。自己最速の155キロを記録し、スライダーでさえ140キロを超えた。野村監督は「切羽詰まったときに力が出る。何か持ってるよ」と感心しきりだ。

 救援は今季初めて。前半戦はもう先発予定がないため、ブルペンで待機していた。昨季も登板間隔が空いた交流戦終盤に救援を成功させている。「去年もやっていたので慌てなかった」と、堂々のマウンドさばきで通算2セーブ目を挙げた。

 先発ではここ5試合で0勝2敗と足踏みしている。「僕の試合で勝てていないので、勝利に結び付く状況で投げられてうれしい」。もどかしさを振り払う快投だった。

 [2009年7月20日23時9分]ソーシャルブックマーク