新4番の1号だ!

 広島栗原健太内野手(26)が7日、広島市民球場で行われた紅白戦に「4番一塁」で先発。2回の第1打席で青木勇のシュートを左翼席へ運んだ。栗原にとって実戦11試合目、28打席目でようやく出た本塁打。ブラウン監督も全幅の信頼を置く主砲がカープをけん引していく。

 打った瞬間、歓声が上がった。2回の第1打席、青木勇の128キロのシュートをフルスイングするとアーチではなく、鋭いライナーが左翼席へ突き刺さった。4番栗原の11試合目にして出た一発。「いいタイミングだった」。納得の一振りに自然と顔がほころんだ。

 これで実戦通算22打数9安打で打率4割9厘、6打点。十分すぎるほどの「4番」の働きぶりだ。ブラウン監督も「彼は開幕1軍を争うような選手ではない。何も心配していない」と満足そうだった。

 キャンプでは「軸足にしっかり体重を乗せる」ことを意識して打ち込んだ。「どうしても手打ちというか、下半身がうまく使えていない」とキャンプ中にこぼすこともあった。試行錯誤の末、「今季1号」がようやく出た。「自分のイメージどおりにバットが出てくればいいんですが、まだ少し考えながらやっている。でもキャンプのころに比べるとだいぶよくなっている」。理想のスイングに着実に近づいている。

 昨シーズン終了後から巨人・阿部モデルのバットを試している。「グリップの感触がしっくりくる」と言う。昨秋、契約メーカーの担当者に「全く同じものを作ってほしい」と注文を出した。スイートスポットがよりヘッドに近くなり、バットの先端が重くなった。「遠心力」で打球を遠くへ飛ばすバットだ。より長距離砲へ、歩みを着実に進めている。「開幕後もこのバットでいこうと思う」。

 内田打撃統括コーチは「すばらしいね。自分のやることをちゃんとできている。今のままで大丈夫」と明言。栗原は「1本出ると感覚が残る。どんどん自分の持ち味を出して、いろんな課題をクリアしてシーズンに入りたい」。昨年は打撃3部門で過去最高の成績を残した。さらなる飛躍へ。「4番」で迎えるシーズンまであと3週間だ。【網

 孝広】