<オープン戦:巨人0-0阪神>◇16日◇東京ドーム

 阪神岩田稔投手(24)が16日、オープン戦の巨人戦(東京ドーム)に先発登板し、5回無失点の好投を見せた。今季は2月23日オリックス戦(安芸)以降、17イニング連続で自責点ゼロ。岡田彰布監督(50)も「合格点や」と評価し、開幕ローテーション入りが決定的になった。左右のバランスと開幕3カード目の巨人戦をにらんで、岩田は開幕2戦目の3月29日横浜戦(京セラドーム大阪)での先発が濃厚だ。

 プロ入り初の開幕ローテ切符を賭けた岩田が、窮地で粘り抜いた。2回無死。いきなり連打を浴びて一、二塁のピンチを背負った。ここから実力を発揮。売り出し中の坂本を内角低め速球で見逃し三振に切ると、木村拓にもインサイド中心の配球で左飛に打ち取った。続く星には変化球攻め。足下に食い込むスライダーで簡単に追い込むと、最後は外角低めフォークでバットに空を切らせた。

 岩田「点数をやったらダメだと思ってました。(一、二塁のピンチは)去年だったら『どうしよう、どうしよう』となっていたと思う。上(1軍)でやるためにそれじゃダメ。どっしり構えて、相手に点を与えないようにしました」。

 走者を出しても、傷口を広げない。3回には1死二塁で小笠原を迎えたが、二ゴロに仕留めた。走者を三塁に置いての、ラミレスとの対決でも投ゴロに封じる。冷静なマウンドさばきで、巨人の主軸と堂々と渡り合った。毎回走者を出しながらも、5イニングを5被安打無失点に抑えた。

 岡田監督「(走者が)二塁に行っても安心して見ていられるというかな。(2月の)練習試合のときより落ち着いてきている。自信というか、実際に抑えているわけだし。(先発の)左は下柳以外で1人だけ。今のメンバーで他はおらん。(開幕ローテの)候補というか(この日登板した杉山を含めて)2人とも合格点ちゃうか」。

 オープン戦の開幕投手を務めた2月23日のオリックス戦(安芸)以降、5試合17イニング連続で自責点ゼロを継続中。文句なしの成績を残して、指揮官に実力を認めさせた。

 開幕ローテーション入りは決定的となった。岩田は、左の強打者が多い巨人を見据えた「G倒シフト」に組まこまれることになりそうだ。3・28開幕は安藤の登板が決定的。ベテラン左腕の下柳は2カード目、広島戦(広島)の初戦先発が濃厚となっている。左右のバランスを考慮すれば、岩田は開幕2戦目の29日横浜戦での先発が有力。ここで投げれば、3カード目の巨人戦で登板することが可能となる。

 岩田「打倒巨人で、みんな頑張っている。巨人に負けられないのはありますね。(ローテ入りは)分からないです。自分が決めるわけじゃない。結果を出さないといけないですね。今は球種も増えて、カウントを取れる球もある。気持ちでもゆとりが出ています」。

 目標のプロ初勝利を達成できなかった昨季から、たくましく成長した。下柳に続く待望のサウスポーが「Gキラー」としてのツメを研ぐ。【酒井俊作】