よってたかって4番にメス-。不振にあえぐ広島栗原健太内野手(26)にブラウン監督ら首脳陣のメスが入った。10日、雨のためヤクルト戦が中止。ナインは神宮球場の室内で1時間半の練習を行った。ブラウン監督は栗原につきっきり。身ぶり手ぶりでフォームの指導、メンタル面の講義などなど。“徹底チェック”は1時間に及んだ。

 指揮官の口調は、次第に熱を帯びていった。リブジーコーチがトスを上げ、栗原が打ち返す。何度も何度も同じことを繰り返す。肌寒い室内で栗原は汗だくになるまでバットを振った。それが終わると通訳を交えて講義が始まる。他のコーチ陣が見守る中、指揮官は通訳にバットを持たせ、「よく見ろ。こう振るんだ」といわんばかりに軽くスイングさせる。途中でバットを止め、スイング角度について熱弁をふるう。栗原は熱心に耳を傾けた。

 「今日は彼にとって非常にいい練習だった。フォーム的なものは大きな問題ではないんだ。話したのは主にメンタル面。彼は悩んでいる。1番大事なのは自信。打点とか本塁打とか余計なことを考えずに相手投手に向かっていけ。強い打球を打つことだけを考えろと伝えた」。練習終了後、ブラウン監督は報道陣にも熱弁をふるった。

 栗原の不振は深刻だ。現在12打数無安打で打率は2割4分8厘。5月1日の時点では2割9分9厘だったから、この7試合で一気に打率を下げた。7試合で28打数2安打。その間の打率は7分1厘。9日のヤクルト戦でも4回1死一、三塁で遊併に倒れるなどブレーキになった。開幕戦から「4番・一塁」でスタメン出場を続ける栗原。状況打破へ、首脳陣が一丸となって取り組んだ。

 小早川打撃コーチは「技術的には深刻ではない。精神的なもの。でも、何のこれしき、もっと辛いことや苦しいことはあるんだから」と話す。この日はアレックスも栗原にアドバイスを送った。「自信を持って、自分を信じてやればいいと言ったんだ。僕も何度も不振は経験している。きっかけをつかむまでは辛抱だね」。見守った内田打撃統括コーチも「栗原が打たなきゃ試合に勝てないからな」。いろんなアドバイスを頭に詰め込んだ後、主砲はフリー打撃で一心不乱にバットを振った。

 「監督にはバットの角度について言われた。今日は体全体で振れていた。悪い時は手だけでスイングする。自分のスイングをしていくだけ」と栗原。首脳陣は「4番降格」も示唆している。栗原にとって、正念場が訪れている。【網

 孝広】