打点を稼げ!

 変化球を攻略しろ!

 阪神岡田彰布監督(50)が6月30日、1日からの中日3連戦(甲子園)のキーマンとなる5番の林威助外野手(29)に2つの課題を与えた。指揮官は、調子が上向いてきた左の大砲に対し(1)走者がいるときに打つ(2)変化球に対応する―を注文した。今季阪神の5番打者打率は、わずか2割1分2厘。林が勝負強さを取り戻せば、得点力は一気にアップする。

 課題ははっきりしている。林の5番定着を期待するからこそ、指揮官の口調は自然と熱を帯びた。右肩手術から復帰し、じょじょに調子を上げてはいるが、合格はまだ先。岡田監督はすかさず注文を出した。

 岡田監督

 調子はだいぶよくなってきた。ただ、ランナーがいる時に打たんとな。いてない所で打ってるやん。今は何番からチャンスができるか分からんけど、そういう(打点を挙げる)打順なんやから。

 5月下旬の1軍復帰から1カ月。一時は0割台にあえいだ打率は2割3分3厘まで上昇。実戦感覚を取り戻し、本来の姿を見せ始めた。前日29日のヤクルト戦(秋田)では今季2度目のマルチ安打をマークし、連続試合安打は「4」。それでも指揮官は、勝負強さが足りないと指摘した。

 ここまでの得点圏打率は7分1厘。14打数1安打で1打点と伸びない。逆に、得点圏に走者を置かない場面なら、打率は3割1分まで跳ね上がる。ここ5試合連続で「5番右翼」に起用される打者には、物足りない成績だ。

 もちろん、林も承知済み。「今は打順は何番でも一緒」「塁に出たいという気持ちはいつでも同じ」と前置きしながら、現状打破に意欲を見せた。「チャンスで打てば大きい。得点になるし、チームにも貢献できる」。チームは開幕から、金本の後ろを任せる「5番」の人選に頭を悩ませてきた。今岡、フォードなどが納得いく成績が残せず、左の大砲にかかる期待は大きい。

 指揮官の注文はもう1つ。変化球の攻略だ。「ポップフライは変化球ばっかりやんか」。ただ、実戦慣れするにつれ、改善されつつあるのも確か。林は手ごたえも口にした。「(相手投手の変化球は)フォークが多い。狙って打てるボールじゃないので、真っすぐを打つ構えでいかないと。でも段々良くなっている。もうちょっとしんに当たれば、(打球は)飛んでいくと思う」。

 1日からは、6・5ゲーム差で2位の中日と3連戦(甲子園)。ペナントレースで山場の訪れを告げる首位攻防戦第1ラウンドだ。林は「負け越したら嫌な雰囲気になる。最低でも2勝しないと」と力強く話した。【佐井陽介】