<横浜2-19阪神>◇3日◇横浜

 阪神が19点の猛攻で後半戦のスタートを切った。横浜の5投手に21安打を浴びせ、4番金本知憲外野手(40)はプロ入り最多5安打を放って6打点を挙げた。新井が北京五輪出場のため離脱したが、頼れるアニキがチームを引っ張る。優勝マジックを40に減らし、8月も白星街道を突っ走る。

 新井が抜けても何の心配もない。思う存分、五輪で戦ってこい!

 そんな金本流のエールが込められていたのかもしれない。チーム21安打19得点。大事な後半戦開幕スタートは記録ずくめの大勝でマジックを減らした。文句なし、その中心で暴れ回ったのは4番金本だった。

 3回、1死二塁から左翼オーバーの二塁打で4点目をたたき出した。5回に右前打。6回には2死満塁から8、9点目。7回には2死三塁から14点目。9回には無死二、三塁から右中間二塁打で17、18点目を挙げた。5打数5安打6打点。バスまでの帰り道では五輪代表合宿のためいなくなった弟分の話題を持ち出し、豪快に笑った。

 金本

 節目(の試合)な。そういうとこで今日、新井さんがいなくてホント良かったよ。「新井さん1人がいないだけで、こんなにもチームの雰囲気が良くなるものか」と庄田、小宮山とか、それに葛城も言うとったな。あくまで聞いた話。オレが言うてるんじゃないよ、ハハハッ!

 ヒーローインタビューでは「交流戦とか後半戦とか節目ではチームの勢いが変わることがある。そういう意味でいいスタートが切れた」と言った。これがマジメな本心だ。初回には2死二塁でいきなり敬遠気味の四球で歩かされた。「キャッチャーが(本塁から)離れたから。さすがに最初からとは思った」。相手は当然のように4番孤立を狙ってくる。周囲の、そして自分の責任の重さをジョークに変えた。そして腰痛を抱えたまま金メダルを目指す新井を陰で励ました。

 1試合5安打は百戦錬磨プロ17年目の鉄人をもってしても初の記録。これまでの自己最多は18度もあったが4安打だった。6打点以上は06年8月6日広島戦(松山)以来、2年ぶり5度目。95年8月10日の阪神戦(広島)の7打点に次ぐ爆発だったが本人は「たまたま。ラッキーだった」。5安打についても「別に。試合展開でどうでもいいところやったから」。これから訪れるだろう正念場。勝負を優勝を決める一打にかける、いかにも4番らしい言葉だった。【片山善弘】