中日川上憲伸投手(33)が15日、FA権を行使することを表明した。名古屋市内で会見した川上は、すっきりした表情だった。「FA権を行使することになりました。周囲がどう評価してくれるのかを知りたかった。一番悩んだのはドラゴンズ愛というか、ファンの方々に後押ししていただいたことです」。11年間在籍したチームへの愛着と、自身の希望のはざまで揺れた末に出した結論だった。

 「これで中日を出ると決まったわけではない。行き先が決まったわけではない」と白紙を強調したが、移籍は確実だ。その選択肢として、メジャーへの思いを明かした。「正直、5、6年前からメジャーに行きたいという気持ちがものすごく強かった。球団に言ったこともあったけど『FAで堂々といけばいい』と言われた」と話した。きっかけは02年の日米野球でメジャー屈指の強打者ボンズと勝負したこと。球団にポスティング移籍を申し出たこともあった。

 メジャー移籍最優先ではあるが、国内他球団とも交渉する意思がある。「5、6年前ならメジャー一本と言えるが、今は通用するのかという不安もある」。交渉解禁日は20日。球界を代表する右腕の新天地探しが本格化する。【鈴木忠平】