楽天岩隈久志投手(27)が4日、3月5日に開幕するワールド・ベースボール・クラシック(WBC)第1ラウンド初戦(対中国)の先発候補に挙がった。この日、日本代表の山田久志(60)与田剛(43)の両投手コーチと、伊東勤総合コーチ(46)が沖縄・久米島のキャンプ地を視察。山田コーチは開幕戦の先発について「私の口からは言えない。だが、その(開幕候補の)中には入ってくるだろう」と示唆した。岩隈が、サムライジャパンの先陣を切る可能性が強まった。

 疲労に沈む体を気持ちで動かした。連日のハードな練習で全身は筋肉痛だらけ。それでも岩隈は今キャンプ3度目のブルペンで最多となる110球の猛アピールを見せた。「体はパンパンですよ。でも(ボールに)力が入る時にしっかり入るようになった」。代表コーチ3人が見つめる中、力んでバランスを崩すほど気合にあふれていた。

 ブルペンでは同じく代表候補の田中と並んで投げた。「マー君がすごくいい球を投げてましたよ。今日はそんなに力を入れて投げるつもりはなかったんですけど、だんだん足の幅まで広くなっちゃいました」と苦笑いした。

 その岩隈にWBC開幕投手の可能性が強まってきた。

 視察した日本代表の山田投手コーチは「第1クールでこれだけ投げられる。いつも(仕上がりが)遅いと聞いていたけれど、早いくらいだね」と目を細めた。第1ラウンドは東京ドームで3月5日に始まる。初戦は中国戦。日本の世界一連覇への道のりが始まる大事な試合だ。山田コーチは「そういうことは私の口からは言えない」と言いながら「(開幕投手)候補には入っている」と認めた。

 岩隈も「うれしいですね。山田さんには『しっかり準備して。合宿で会えるのを楽しみにしています』と言ってもらいました」と、ホッとした笑みを浮かべていた。

 エースを送り出す野村監督は「(視察したコーチ3人とも)満足そうに帰ったよ。別にアピールなんてしてない。投げられるだけでいいんだよ」と信頼の言葉を続けた。さらに「山田(コーチ)には、せっかく連れていくんだから、最低1つでもお土産を持たせてくれと言った。(岩隈、田中)2人とも選ばれるみたいだよ」と、会談の内容をポロリ。

 目標とする中国戦は、ちょうど1カ月後。「3月5日に100%の力を出せるように、早めの準備をするつもり。責任を持ってやっていきたい」と昨年から言い続けてきた。目標から現実へ。岩隈が開幕マウンドに向け、さらに気持ちと体のボルテージを上げる。【小松正明】

 [2009年2月5日9時35分

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