中日堂上直倫内野手(20)が開幕1軍へ猛アピールした。24日、北谷球場で行われたSK(韓国)との練習試合で先制2ランを含む4打数3安打3打点と大暴れした。実戦4試合で13打数7安打、打率5割3分8厘、2本塁打、7打点と野手陣トップの成績。06年のドラフトで中日、巨人、阪神のセ・リーグ3強が奪い合った逸材が3年目で開花の兆しを見せている。

 堂上直の打球はあっという間に左翼スタンドの芝生に突き刺さった。「打った瞬間に入ったと思いました」。2回の第1打席、外角の直球を完ぺきにとらえての2ランだった。第2打席では投手の足下を鋭く抜く二塁内野安打、第4打席では変化球を左前タイムリー。この日の4打数3安打3打点を加え、実戦4試合で打率5割3分8厘、2本塁打、7打点とビックリの数字をたたき出している。

 「チャンスなので1打席、1打席を大切にしようと思っています」。

 06年のドラフトで中日、巨人、阪神とセ・リーグ3強が1位で競合した逸材もプロ3年目となった。同じ地元の強豪・愛工大名電から中日入りした兄・剛裕外野手、元中日投手で入団当時、選手寮の館長だった父・照さんと親子3人が同一球団に所属するという話題性もあり、注目された。

 それでもプロの壁は厚く2年間で1軍出場はわずか3試合。2軍戦でも出場機会が減っていた。そんな堂上直にとってヒントになったのは昨秋キャンプで取り組んだ打撃フォーム改良だったという。「ちょっとしたことをやってみたら、自分の中ではそれが大きかった」。高く上げていた左足をすり足にした。投手とのタイミングを早めに取るようになった。打球を「点」ではなく「線」でとらえる意識を持った。豊かな才能がほんのわずかな刺激ではじけようとしている。

 落合監督は今季、森野を三塁で起用する構想を持つ。守備固めのため試合途中で一塁にまわっても現時点で三塁には小池が入る可能性が高い。まだ2軍からの“招待選手”である堂上直との差は歴然としている。ただ、堂上直がその差を急速に埋める可能性を秘めていることもまた事実。開幕まで続くアピール合戦。堂上直のバットから目が離せない。【鈴木忠平】

 [2009年2月25日12時26分

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