<阪神1-5ヤクルト>◇4日◇京セラドーム大阪

 2年目のヤクルト由規投手(19)が、目標の「新人王」へ好発進した。最速153キロの直球にスライダーやチェンジアップを効果的に織り交ぜて、阪神打線を6回3安打1失点に抑え、今季初白星を挙げた。「いつ1勝できるか不安だったけど。これからは(この日より)余裕を持っていけると思います」と、初々しい笑顔で視線を上げた。

 精神面の成長を感じた。3点リードで迎えた3回。1点を返され、なお2死満塁のピンチで打席には6番メンチ。「全部の力を使ってもいいと。気持ちだけは負けないように投げました」。最後は外角低めのスライダーで空振り三振に仕留め「最少失点で切り抜けることができたので、(その後は)腕を振って投げることもできました」と、今季初登板のターニングポイントを振り返った。

 開幕2戦目、しかもエース石川で落とした直後だっただけに相当のプレッシャーもあった。「昨日(チームが)負けたことはあまり考えずに、自分の投球をすることだけを考えました」と、努めて冷静を装ってマウンドへ向かった。制球が定まらない中、序盤から味方打線の援護にも恵まれて立派に役目を果たした。

 今年はキャンプ中の対外試合初戦で先発を任されるなど、首脳陣からの期待は大きい。荒木投手コーチが「責任感を持ってやってくれた。すごい成長だよ」と話せば、高田監督も「これからローテの軸として回ってくれる、期待の持てる投球だった」と絶賛した。

 ルーキーイヤーは通算29回2/3投球回で、新人王の資格(支配下登録5年以内、1軍での投球回数30回以内)を残して終了した。ギリギリで権利を残してくれた首脳陣の思いに応えるためにも、今季は「ローテを守り抜くこと」で目標をつかみたいと意気込む。チーム今季初勝利へ大きく貢献した右腕は、新人王へ最高のスタートを切れたかという報道陣からの質問に、言葉にこそしなかったが3回力強くうなずいた。【松本俊】

 [2009年4月5日8時18分

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