<日本ハム3-0ヤクルト>◇23日◇札幌ドーム
かわいい後輩を立てる余力が、圧巻の完封の後に残っていた。日本ハム・ダルビッシュ有投手(22)は爆笑で、頭を下げた。「初ヒットを打ってけなしとったら、かわいそうなんで。今日は中田サンのおかげです」。汗びっしょりの125球の熱投。マウンドでは全力投球も、降りれば、いつもは手厳しい中田への手綱を緩めた。
直球主体の組み立てで、押しに押した。「体の使い方とかが分かってきた」。ここ数試合は140キロ台中盤に落ち込んだが、最速150キロをマークと球威抜群。直球狙いにはカットボール、ツーシームでバットの芯を外した。青木からは直球系カットボールで2併殺、デントナは4打席4三振。ガイエルには3安打を浴びたが、ポイントの打者を沈黙させた。
5月に突入後、WBCの反動の疲労と闘ってきた。手探りでセーブしながらのマウンドの連続だった。ローテーションを守り、勝利へ導く-。エースの宿命と向き合いながら、現状を受け入れてきた。ある試合中には初回を投げ終え、不調を察知。「テキトーに投げてきます」と言い放ったこともある。歯がゆい中でも、その日の状態に合わせ修正していた。この日は直球の走りを「浮いているだけ。空振りをとれている」と手応えを深め、大胆に攻め切った。
今季2度目の完封は、プロ入り5年目で通算10度目。不調の中でも結果を残せる証明が、開幕8戦全試合ですべて7回以上を投げ切っているゲームメーク能力の高さだ。梨田監督は「ダルビッシュのすごさというかね」と脱帽していた。
22歳ながら大黒柱としての姿を中田へ見せた。「(好調は)長続きはしないんで。また悪くなる時は、なる」。コラボレートした記念の一夜の“正真正銘”のヒーローは一喜一憂せず、最後まで泰然自若だった。【高山通史】
[2009年5月24日8時18分
紙面から]ソーシャルブックマーク



