<ソフトバンク3-1オリックス>◇30日◇福岡ヤフードーム

 秋山ホークスの元気印・川崎宗則内野手(28)のバットで大きな白星をつかみ取った。先発大場が8球で危険球退場を命じられた波乱の一戦。オリックスに先制を許したが、川崎がチームの全3打点をたたき出す、2安打3打点の活躍で同一カード3連敗を免れた。打撃不振に苦しんだ男が、復調への兆しをがっちりつかみ、チームは後半戦初白星。ソフトバンクに球団名変更後、通算350勝の節目白星もマークし、31日、敵地札幌ドームで首位日本ハムに挑む。

 眠れないほどの悔しさをぶつけた3打点だった。ソフトバンク川崎がお立ち台で明かした。「一睡もしていないので眠いです!

 今日は爆睡ですね」。前日29日はサヨナラ機で捕ゴロに終わり惜敗した。一睡もできなかったわけではなかったが、気持ちの整理がつかず、珍しく夜中過ぎまで眠れなかったという。得点圏に走者を置いた2度のチャンスで、背番号52が躍動した。

 1点を追う3回裏だ。2死一、二塁。オリックス平野の外角直球に、体が反応。体重移動を抑えた新打撃スタイルで、ジャストミートした。逆転の2点適時二塁打。さらに、8回裏1死二塁では、清水の外角球をはじき返し、左翼越え二塁打で貴重な追加点をもぎ取った。3回の一打は実に18打席ぶりの安打。前夜で打率2割5分1厘まで打撃不振に陥っていた男が、チーム全3打点をたたき出した。

 川崎

 (打撃スタイルは)僕の中では何も変わっていない。『無』でいきました。立花コーチに『打席の時間は自分だけのもの。楽しんでいけ』といつも言われている。師匠の教え通りにやりました。

 極度のスランプに悩みつつ、周囲の支えに感謝する日々だった。秋山監督は打撃の調子が上がらない本多、川崎の「1、2番コンビ」について、不動のスタンスを貫いてきた。「もう、やるしかない、と覚悟を決めていきました」と川崎。復調の兆しをみせた元気印に、秋山監督も「今日はムネデーだったね。調子上げてもらわないとね」と笑顔で振り返った。

 先発大場のまさかの危険球退場で始まった一戦。川崎の活躍同様、逆転勝利は秋山監督の信念が実った。この日9番サードに入れたのは、オーティズの抹消に代わって、緊急昇格させた23歳の明石。「若い選手にはチャンスなんだ。これを生かしてほしい」。チームの苦境をはね返すのは、勢いのある若き力が必要だと感じていた。3回裏に逆転への口火を切ったのは、今季初打席で右前安打を放った明石だった。

 首位日本ハムが勝利し、3ゲーム差は変わらなかった。それでも、チームは連敗をストップさせ、後半戦初白星。ソフトバンク通算350勝の節目白星でもある。31日の相手先発は3年越しの8連敗を喫しているダルビッシュ。川崎は言った。「(ダルビッシュとの対戦を目前に)今日も眠れないね」。難敵を倒したとき、秋山ホークスの逆転Vへの道が開けてくる。

 [2009年7月31日11時2分

 紙面から]ソーシャルブックマーク