ヤクルトはセ・リーグのクライマックスシリーズ(CS)第2戦の試合前に、高木啓充投手(26)ら3選手のA型インフルエンザ感染が判明。19日の第3戦先発予定だった高木は登板を回避した。試合後には川本良平捕手(27)からインフルの陽性反応が出て、7回途中3失点と力投した館山昌平投手(28)も体調不良を訴えるなど、集団感染の可能性も出てきた。19日の第3戦に勝ってCS第2ステージに進出しても、突然のインフル禍で大ピンチだ。

 ヤクルトが思わぬ“難敵”で壊滅的な状態に陥った。先勝して迎えた敵地での第2戦。先発したリーグ最多勝男の館山が7回、荒木に勝ち越しの中前適時打を浴び、惜しくも1点差で競り負けた。逆転勝ちした前夜の勢いで一気にCS第1ステージ突破をもくろんだが、その気勢をそぐ緊急事態になっていた。

 試合前に高木、ユウキ、野口のインフルエンザ感染が判明。チームに衝撃が走った。激闘のCS進出争いの疲労が抜けず、選手たちの免疫力が低下していたのは否めない。高田監督は戦う前から「いいムードが一転だね。ここまで勢いで来たけど、消えそうで怖いな。あまり先のことを考えても。まずは今日だよ」とため息をついていた。

 さらに試合後、ショックが倍増する主力の離脱が確実となった。左脇腹肉離れの故障を抱える相川の代役で先発出場を続けていた川本が、トレーナーの簡易検査でインフルの陽性反応を示した。この試合で先発したエース館山、守護神の林昌勇も微熱で体調不良を訴え、控え捕手の衣川は38度の高熱で、集団感染の可能性が高くなった。

 急きょ19日の第3戦の補充要員として、2軍の水野捕手と三輪内野手を、宮崎のフェニックスリーグから呼び寄せることを決めた。高田繁監督(64)は「今日は何とかしのいだけど…。明日になって、急に(感染者が)何人か出たりしないか心配。これ以上出たら、お手上げだよ」と、試合できるかどうかも懸念した。

 第3戦先発予定だった高木は先発を回避。由規が代役先発する。中日に勝って巨人とのCS第2ステージへ進出した場合も、初戦で先発予定だったユウキの離脱で、先発ローテは白紙となる。高田監督は「(先発の)3、4番手がいなくなったら計算も何もない。由規も、急に熱が出たりしなければいいんだけど…」と頭を抱えた。

 1勝1敗で中日に逆王手をかけられ、負ければ今季はジ・エンド。選手会長の石川は「(感染者)本人が一番悔しいと思うし、いる選手たちでやっていくしかないですから」と逆境で一致団結を強調した。高田監督は「思い切ってやりますよ」と気丈に話したが、戦力ダウンで厳しい戦いを強いられるのは必至。ヤクルトがグラウンド外でも窮地に追い込まれた。

 [2009年10月19日8時29分

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