「競輪トレ」で球威アップ!!

 広島永川勝浩投手(29)が25日、広島市内の広島競輪場を訪れ、初めて競輪トレーニングを行った。同じパーソナルトレーナーに師事している縁もあり、S級2班の和田誠吾選手(44=広島)に志願の弟子入り。後背部や太もも裏など、体の後部筋肉を重視する競輪の動作から、球威と制球力向上のヒントをつかんだ。

 189センチの巨体をかがめて、一心不乱にペダルを踏んだ。400メートルバンクを2周半するタイムトライアルで、永川勝が風を切るように疾走した。両足は次第に重くなり、表情もゆがむ。なじみの薄い競輪に果敢に挑戦し、フィニッシュ直後は息を切らせて言う。

 「カーブが怖い。タイヤが滑りそうで…。しんどいですよ、最後の半周とかね…。(負担がかかるのは)うしろ(の筋肉)全部ですね。背中もね」。2度走って、タイムは1分37秒と1分36秒。競輪用自転車にまたがり、新たな発見もあった。体の後部の筋肉をいかにうまく使うか-。練習を指南した和田も「競輪トレ」の効力を説明する。

 「スポーツは裏側の筋肉をしっかり使えないと、良いパフォーマンスを出せない。裏の筋肉を上手に使うことで、永川君ももっといい投球をできる。スピードも上がるんじゃないか」。

 25年の現役生活を誇り、競輪界の第一線で活躍する同選手も、守護神の進化に太鼓判を押した。プロ1年目(03年)を終えた永川勝にトレーナーを紹介したのが同選手だった。「(1年目に)彼の体を見て『体力的にもっとつけたほうがいい。160キロを投げるようになってくれれば』とね。それを目標に(筋力トレーニングを)始めたんです」と振り返る。親交は厚く、今オフ、永川勝が競輪への挑戦を申し込んでいた。

 背番号20は言う。「野球にしても裏の筋肉は大切。再確認したというか。たまには他のスポーツをするのもいい。下半身が安定すれば、制球も良くなる。いろいろ勉強になることもある」。今オフはスケジュールの都合で練習メニューに組み込めないが、来年以降、取り組む意欲を見せた。球界でも、西武が新人合同自主トレで「競輪トレ」を行うなど、下半身を鍛えるメニューとして用いられる。ペダルをこいで両足を強化できれば、投球に生きるのは間違いない。

 今季は3勝6敗、36セーブの成績だった。土壇場で狙い球を絞られ、痛打されるケースも目立った。投球の幅を広げるため、宮崎・日南秋季キャンプではカットボールの習得に励んだ。宝刀フォークも大きな武器だ。とはいえ、やはり、速球の球威が生命線になる。「(今オフは)下半身もイチから鍛えなおすつもりでやっている」。必死に自転車をこぎ、大きな刺激を受けた。【酒井俊作】

 [2009年12月26日10時34分

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