目指せ世界一!

 ヤクルト由規投手(20)が成人の日の11日、地元宮城の仙台市体育館で成人式に出席した。10日には同級生とタイムカプセルを掘り起こし、10年前の自分がボールに書き記した「世界一の投手になる」という言葉を見て、野球人生の目標を再確認した。入団時に高校ビッグ3と騒がれたロッテ唐川、日本ハム中田と3人で「平成元年会」を結成することも目標に、まずはプロ3年目の今季、大人になった剛速球右腕がチームを日本一に導く。

 スーツや晴れ着姿の同級生から、ひっきりなしに写真撮影をせがまれた。生まれ育った杜(もり)の都では人気者の由規。だが、決して浮ついた心はない。「日々成長していけるように、大人になったなと言われるようになりたい。どんな人からも尊敬されるような人間になりたい」。謙虚に20歳の誓いを立てた。

 初心に戻る出来事があった。10日、幼なじみと母校の北仙台小を訪れ、10年前の小4時にクラスメートとともに埋めたタイムカプセルを掘り出した。中には「世界一の投手になる」と記した古ぼけた硬式球…。そして、一緒に眠っていた作文用紙には「甲子園に出て優勝してみたいな」「松坂選手の155キロ以上の速い球を投げたい」と夢がつづられていた。

 優勝こそできなかったが2年夏から3大会連続甲子園出場、直球の最速は157キロを計測と、夢をかなえてきた。残すは「世界一の投手」だ。「何を書いたのか忘れてましたけど…、頑張らなきゃと思いますね」。ちょうど野球を始めたのが小4の時だった。メジャーでの活躍を夢見た昔の自分を思い起こし、気持ちを引き締めた。

 新しい夢もある。「活躍するようになったら、みんなでオフにイベントをやりたい」と、平成元年生まれの仲間と力を合わせて球界に貢献したい気持ちがある。「3人が中心となって(同世代を)盛り上げていきたい」と、ビッグ3と呼ばれてプロ入りしたロッテ唐川、日本ハム中田の存在も発奮材料にする。

 12日には、初の海外自主トレのため米アリゾナ州フェニックスへ出発する。昨季は5勝10敗。「クライマックスシリーズで負けて悔しい思いをした。今年は2ケタ勝利できるように頑張ります」。大人になっても、心は“世界征服”を夢見た野球少年の純粋な気持ちで3年目に備える。【由本裕貴】

 [2010年1月12日8時16分

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