<日本ハム3-1横浜>◇22日◇札幌ドーム

 日本ハム武田勝投手(31)が、2戦連続でチームの交流戦連敗を阻止した。先発し、今季自己最長の8回を投げ3安打1失点に抑え3勝目を挙げた。16日の広島戦に続き、敗戦翌日の試合で白星をもたらした。チームは交流戦に入って連敗なしの6勝2敗で首位タイをキープ。交流戦2連勝の左腕エースとともに、勢いづいてきた。

 心技体を結集した、こん身の仕事だった。武田勝が、洗練された投球術でねじ伏せた。今季最長の8回を投げ切り、1失点で3勝目。前夜にエースのダルビッシュの好投むなしく喫した黒星の余韻を、創意工夫の97球で一掃した。「何とか粘る気持ちでいけた」。今季初の自身の連勝、本拠地勝利。梨田監督が「安定感があった。危なげなかった」とたたえる文句なしの快投だった。

 立体的に内外角、高低を使って攻めきった。試合序盤は球速差が少ない直球、シュート主体で押した。植え付けた意識を利用して3回以降からスライダー、チェンジアップを交えて幻惑する。1-1のこうちゃく状態の6回に2死一、二塁のピンチ。初回に先制打を浴びた村田を初球チェンジアップで三ゴロで仕留め、大きな山を越えた。

 首脳陣から「信頼」というプレゼントをもらったから、スイッチが入った。その中盤の最大の危機でマウンドへ向かった島崎投手コーチからの言葉だった。「あの時に『任せた』と言ってもらい、気持ちが入った」。今季は中盤で交代を命じられるケースが多かった。交流戦前の最終登板、9日楽天戦は3回1失点でベンチへ下げられた。しかも1点リードの場面。これで交流戦は2戦2勝と屈辱的な経験もパワーに変えた。

 パ6球団でしんがりの20勝目を、運んだ。「昨日、ダルでやられていたので何とか勝ちたいという気持ち」と描いた青写真通り、白星をつかんだ。今カードは、ちょうど2軍の北海道遠征中。先発が控えているにもかかわらず昨季限りで引退、今季から2軍打撃投手を務めている星野八千穂との会食を設定した。志半ばで球界を去った後輩との活力となる“交流”も、この日の力になった。左腕エースに、面目躍如の時が到来した。【高山通史】

 [2010年5月23日11時6分

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