<ソフトバンク6-9ロッテ>◇28日◇福岡ヤフードーム

 やられっぱなしでは終わらん!

 ソフトバンクがロッテとの首位攻防戦に敗れはしたが、0-9から最後は3点差に迫る猛烈な追い上げを演じた。エース杉内の大乱調によるまさかの展開にも、野手陣は気持ちを切らさず反撃に転じ、最終回はロッテの守護神・小林宏をマウンドに引きずり出した。好調の本多雄一内野手(25)は、2安打に2盗塁で今季通算51盗塁。目標に掲げていた大台をクリアし、今後の戦いに意欲を燃やした。

 チーム屈指の俊足を誇る本多があきらめないホークス打線のけん引役を務めた。まずは初回だった。1死一塁で3番松田への3球目の時に二盗を決めた。これが自身初の50盗塁。その後、松田の右飛で三塁まで進む。得点には結びつかなかったが、杉内が背負った5点ビハインドを何とか返そうと、ダイヤモンドを駆け回った。

 8点を追う6回には先頭で中安打で出塁。松田の2球目時に再び二盗成功。今季自身9度目となるマルチ盗塁で通算51盗塁に伸ばした。4番小久保の右前適時打で2点目の生還。5点を追う7回にも1死一、二塁から左安打で反撃の可能性を追い続けた。

 ダイエー時代の村松が96年に58盗塁で「盗塁王」のタイトルを獲得して以来、ホークスでは14年ぶり史上8人目の50台という偉業となった。村松の記録は「知らなかった」という本多だったが、今後の目標を問われ「60(盗塁)はいきたいですね」とはじける笑顔で誓った。シーズン前から50盗塁に並々ならぬ意欲を示してきたが、シーズン22試合を残して達成。52盗塁でトップを走る西武片岡とも1個差に迫る。

 この日の2盗塁の成功について「スタートの重心の乗り方が良く、収穫だった」と振り返ったが、8、9月の暑い時期にバテない体力温存策が功を奏している。「何かということは分からないが、去年の今頃は走れていなかったので体調管理は徹底した。要領というか、こうすれば体力を消耗しないとかよく考えていた。プロ5年目なんで慣れもあったと思う」。課題がクリアされ、確実に進化を遂げている。本多が盗塁王に近づけば近づくほど、自ずとチームの優勝も見えてくる。

 [2010年8月29日11時15分

 紙面から]ソーシャルブックマーク