矢野さん見ていてください-。阪神能見篤史投手(31)が6日、4カ月ぶりの1軍に合流した。甲子園のグラウンドに踏み入れたのは、5月2日巨人戦で、走塁中に右足楔状骨剥離(けつじょうこつはくり)骨折して以来。キャッチボールやダッシュで、9日中日戦(甲子園)の復活登板に向け調整を行った。「サポートしてくださった方に、恩返しをしないといけないと思います」。4カ月の空白を埋めるため、左腕は力強く活躍を誓った。

 その中でも、特に見ていてほしい人がいる。3日に引退を表明した矢野だ。「僕が結果が出ていないときから、声をかけてもらった。成長した姿を、受けてもらって感じてもらえるのが1番ですけど…。苦しいときにアドバイスしていただいたことが、今になって分かります」。

 偶然にも引退表明の日は、能見の2軍ラスト登板の日と重なった。試合前、鳴尾浜球場のブルペンでバッテリーが実現。「だいぶ力みましたけど」と苦笑いしたが、力いっぱいの11球を、恩人のミットに投げ込んだ。前日5日、虎風荘で荷物整理すると「がんばれよ」と励まされた。

 「去年も矢野さんが上(1軍)に上がってから、少しでも成長した姿を見せたいと思ってから勝ちだした」。ブレークした昨季、矢野が1軍復帰した7月17日以降に10勝を挙げた。力を与えてくれる存在だ。「何とか実現させるためにも、頑張ろうと思う」。早期優勝。そして、もう1度バッテリーを-。それが復活左腕を突き動かす原動力だ。

 [2010年9月7日11時28分

 紙面から]ソーシャルブックマーク