<ヤクルト2-9広島>◇9日◇神宮
広島の前田健太投手(22)がハーラー単独トップの13勝目を挙げた。自己新の152キロの直球で押して日本人最速161キロ右腕のヤクルト由規投手(20)に投げ勝ち、8月6日の巨人戦以来1カ月ぶりの白星をもぎとった。完投で自責点1、9奪三振で防御率、奪三振トップも守り、広島初の投手3冠が現実味を増してきた。
剛速球はヤクルト由規の「専売特許」ではない。神宮のマウンドで前田健の右腕が力強く、ムチのようにしなった。2回、先頭相川への3球目。外角低めに速球を投げ空振りさせた。バックスクリーンに点灯した球速は「152」だ。4回にも再び相川の打席で計測する。自己最速記録を更新し、笑顔で「由規に対抗しました(笑い)。去年はこのスピードも出なかったですから」と振り返った。
日本人最速の161キロを記録する相手先発由規に負けないストレートだった。これまでの自己最速は150キロ。4月21日阪神戦(甲子園)と7月23日の球宴第1戦(福岡ヤフードーム)で刻んだものだ。この日は150キロ台を連発した速球やカーブを中心に、得意のヤクルト打線をかわした。
前田健
(速球は)めちゃくちゃよかったわけじゃない。力を入れて最初から投げていった。野手の方にも序盤から点を取ってもらった。5回くらいから完投する気持ちで投げました。
3点をリードした3回2死三塁。ホワイトセルを追い込むと、前田健は外角高めに投げ込み、151キロ速球で空を切らせた。ストライクゾーンの内外高低をフルに用いる制球力の土台を築いたのは忠岡中時代だ。前田健は言う。「中学3年間は、全部、投球練習はアウトコースにしか投げなかった。アウトコースに投げられればインコースも投げられる。反対に投げればいい。どちらか1つ、完ぺきに投げられれば、反対は簡単に投げられる」。外角低めに投げる感覚を徹底的に体に染み込ませ、自由自在な制球の源になっている。
この日は9回2失点に抑え、リーグ最多タイの今季4完投目。4人で並んでいた最多勝争いから1歩抜け出す13勝目だ。「(みんなが)12勝からなかなか勝てず、どうせなら追い抜いてくれたらと思いました(笑い)。イヤなものがありました。残り試合は少なくなってきている。本気で狙いたい」。防御率、奪三振数でもリーグ1位。「投手3冠」を独占すれば、セ・リーグでは99年上原以来。過去には54年中日杉下、58年国鉄金田らが名を連ねる。フルパワーで、偉業に挑む。【酒井俊作】
[2010年9月10日8時3分
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