<ヤクルト2-9広島>◇9日◇神宮
広島のベテラン前田智徳外野手(39)が、試合を決定づける一打を放った。7回2死満塁のチャンスに代打で登場。ヤクルト由規の152キロのストレートを右中間にはじき返す走者一掃の3点二塁打。9回には木村にもプロ初アーチが飛び出すなど、打線が11安打9点をたたき出し、エース前田健を強力援護。久々に投打がかみ合い、会心の勝利を挙げた。
その瞬間、前田智の鋭い眼光が、マウンド上のヤクルト由規をにらみつけた。2点リードの7回2死満塁。4番栗原の代打で登場。3球目、由規からインハイに155キロの剛速球を投げ込まれた。のけぞってよけた前田智は、一瞬、マウンド方向へ目をやったが、再び静かに打席に入り直す。直後の4球目、今度は152キロのストレートが真ん中低めへ。バットを一閃(いっせん)させると、打球は右中間を深々と破った。走者が次々とホームを駆け抜ける様子を見届けながら、前田智は悠々と二塁に到達した。勝利を決定づける走者一掃の二塁打だった。
背番号1は「ストレートに振り負けないようにね。ひと振りでしとめられた。それが良かった」とコメントした。インハイを攻められたことには「関係ないですよ」とひと言。ここぞという勝負どころでの一打に、野村監督も「日本人で一番速い球を投げる投手のまっすぐを、あそこでしっかり打てる。さすがですね」と脱帽した。
この回、栗原が腰に張りを訴えたため、代打の切り札の出番が来た。そして、主砲の無念を背負って結果を出した。内田打撃統括コーチも「前田智は数字じゃないんだ。打率でいえばそういいわけじゃない(2割2分2厘)が、うちのジョーカーとして答えを出してくれた」と絶賛した。
前日(8日)には、2歳年上の高橋が引退を表明した。コメントを求められると「いや、そういうことは言えません」と固辞した。同世代が引退を決意した胸中をおもんばかったのだろう。その代わりバットで、第2の人生に踏み出す高橋にエールを送った。【高垣誠】
[2010年9月10日10時49分
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