<阪神4-2巨人>◇20日◇甲子園

 鳴りやまない拍手と歓声が心地よかった。今季初めて上がった本拠地・甲子園でのお立ち台。今季、登板するたびにブーイングを浴び続けた阪神久保田智之投手(29)に向けられたのは、労をねぎらう称賛の嵐だった。久保田は「うれしいですね。必死にやっているんで。とにかく(巨人戦を)勝ち越せてよかった」。

 1点リードの7回。先発秋山の後を任される形で、マウンドに上がった。直前の6回の攻撃では、1死満塁の好機でマートンが最悪の併殺打。まさかの無得点に終わり、球場には不穏な空気が流れ始めていた。しかも巨人は9番古城から上位打線に回る最高の流れ。何とか無失点でしのいで、守護神藤川にバトンを渡す-。久保田は邪念を完全に排除して、巨人打線に立ち向かった。

 1死から1番坂本に左前打を許したが、慌てない。続く代打高橋を154キロの剛球で空振り三振に仕留めると、小笠原も151キロ直球で中飛に仕留めた。「(秋山が)いつもいい投球で回してくれる。それに負けじと頑張ろうと思う」。マウンド上ではポーカーフェースを貫いたが、内心は10歳下の後輩に負けられない一心だった。

 続投した8回はさらにすごみを増す。4番ラミレスを空振り三振、5番阿部を右飛に料理すると、最後は矢野を遊ゴロ。絶対に落とせない一戦で2回3奪三振無失点に抑えた。直球は最速156キロを計測。アドレナリンが出まくりの全24球だった。「スピードを出すことより、相手を抑えるように頑張っているだけ。残りも1試合1試合、頑張るしかない」。自らの腕でファンの信頼を勝ち取った男は、中日との決戦も無心で右腕を振り続ける。【石田泰隆】

 [2010年9月21日10時46分

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