<日本ハム4-3オリックス>◇21日◇札幌ドーム

 日本ハムが全員野球で、ロッテと並ぶ3位を死守した。意外性の男、飯山裕志内野手(31)が6回に中前へ勝ち越し打、8回にも右前へダメ押し打を放ち、3年ぶりの1試合4安打をマーク。リリーフ陣も連日の継投でしのぎ、最後は糸井-鶴岡のビッグプレーがチームを救った。オリックスとの4連戦を3勝1敗で乗り切り、貯金は今季最多の6に。5年連続シーズン勝ち越しも決め、クライマックスシリーズ(CS)進出へ希望を膨らませた。

 体格も性格も好みの女性のタイプも違うが、「勝利」への強い思いは、全員が同じだ。最後は糸井嘉男外野手(29)のレーザービーム&鶴岡慎也捕手(29)の体を張ったブロックで1点を死守。グラウンドにもベンチにも、選手たちの歓喜の絶叫がこだました。梨田監督は「今は、みんな自分が何をすればいいのか分かっている。執念がすごいね」。シーズン大詰めの大事な試合を、チームカラーでもある「つなぎ」の全員野球でモノにした。

 鮮やかにつながった打線の中心には、飯山がいた。同点の6回、大野の犠打の直後に中前適時打を放つと、8回にも陽、大野でつくった1死二、三塁の好機に右前適時打で応え、下位打線3連打を完成させた。3年ぶりの4安打。「大事なカードで、こういう活躍ができてうれしいです」。控えのときでも、対戦する可能性の少ない相手先発投手を研究し、自主練習では「申し訳ないから」と裏方スタッフの手伝いを断る献身的な男。試合後にはこの日の4安打をVTRで確認し「今日は興奮して眠れません」と笑った。

 投手陣も固いきずなでつながっていた。先発ウルフが中指のつめを割るアクシデントで5回で降板したが、そこから林、建山、菊地、宮西、武田久が連日の継投でカバーした。3連投の疲れも見せず、1回1/3を4人で抑えて2勝目の林は「準備はできていました。また明日も頑張りますよ」と、満足することなくフル回転を誓った。

 遠隔地の北海道に本拠地があるため、関東に家を持ち、札幌では合宿所で生活する選手も多い。小谷野、糸井らの主力も例に漏れない。車に相乗りして球場を往復し、1人が新車を見たいといえば、同乗者全員でディーラーを訪れたこともある。グラウンド以外でもコミュニケーションを取れる環境が、自然とチームの結束を高めている。

 眼下の敵オリックスとの4連戦に3勝1敗と勝ち越し、貯金は今季最多の6。残り5試合となり、5年連続のシーズン勝ち越しも決定した。梨田監督は「最初にダルが取ってくれたからね。勝ち越したことは大きい。また明日から1つ1つ」。借金が14まで膨らみ、どん底にいたゴールデンウイークから4カ月。季節の移り変わりとともに20個の白星を先行させ、実りの秋が到来した。CS進出への正念場に合わせたように、チーム力は熟成され、今が旬を迎えている。【本間翼】

 [2010年9月22日10時47分

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