第2の秋山を探せ!

 阪神が28日のドラフト会議で南陽工・岩本輝(あきら=3年)投手の指名を検討していることが9日、分かった。最速144キロの速球を武器に、同校では「炎のストッパー」と呼ばれた元広島・津田恒美投手(享年32)以来の快腕だ。阪神は昨年のドラフトで指名した秋山が、シーズン終盤に救世主的な活躍を見せた。この成功例から、高卒選手の逸材を積極的に獲得する方針を固めた。フレッシュな顔ぶれで戦力の底上げを目指す。

 阪神が28日のドラフト会議に向け、ひとつのスローガンを掲げた。「第2の秋山を探せ!」。昨年にドラフト4位で指名した秋山が高卒ルーキーながら、シーズン終盤に4連勝を飾り、チームの救世主となった。球団関係者は言う。「有望な高校生は積極的に指名すべきだ。秋山に刺激を与える近い世代の投手がほしい」。高卒選手が大化けすれば、10年先までチームは安泰だ。今回の成功例を自信に“ポスト秋山”の逸材発掘に動いている。

 そこで名前が挙がっているのが、南陽工の右腕・岩本だ。最速144キロの直球とスライダー、フォークが持ち味だ。同校OBで「炎のストッパー」の異名を持つ故・津田氏の再来とも言われている。昨年は2年生エースとして、センバツ大会に出場。強豪・PL学園を破って、31年ぶりの8強に導いた。今夏も山口大会を勝ち抜き、4年ぶりの甲子園出場を果たした。大舞台で力を発揮する勝負度胸を持っている。すでにプロ志望届を提出しており、プロ入りの心構えはできている。

 阪神は90年代の低迷期から脱出するため、即戦力投手の指名に重点を置いていた。しかしエースと呼ばれるまでに成長した投手は、高卒入団した左腕井川を除き、いなかった。今季は特に主力投手の相次ぐ故障で、投手のやりくりに苦しんだ。球団首脳は「パ・リーグのダルビッシュや田中ら力で押せる若いエースがほしい」と熱望している。今回もドラフト1位候補は有力大学生から指名する方針だが、同時に将来性豊かな高校生を獲得する戦略も固めている。

 高校生は投手だけでなく、野手にも目を光らせている。走攻守3拍子そろったPL学園の遊撃手・吉川ら強肩強打の逸材も可能な限り、指名する方向だ。来季の続投が決まった真弓監督も逸材高校生の積極的な指名を要望。今シーズンに見せた若手の育成手腕で、チーム力の底上げに取り組む考えだ。この戦略は生え抜きのスター選手の出現を望むファンにも応えることができる。常勝軍団の構築へ、真弓阪神が「フレッシュな血」をどんどん注入していく。

 [2010年10月10日11時8分

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