11年真弓阪神の秘策は西村先発!

 今季、中継ぎとしてブレークした西村憲投手(23)が来季は先発転向に挑戦することが26日、分かった。新たな先発候補を模索するチーム内にあって最も適性があると判断されており、秋季キャンプからはスタミナ増を図った練習を取り入れる。勝負をかける真弓阪神3年目は、従来のポジションにとらわれず、投手陣の大シャッフルの可能性を含むテコ入れに積極的に着手する。

 真弓構想が来季に向けて動き出した。あと一歩のところでV逸。戦力見直しを進める中で、投手陣の整備は大命題だった。特に先発陣は故障者続出の影響もあり、シーズン通して頭数がそろわず苦しんだ。強固なローテ確立を目指し、白羽の矢が立ったのがリリーフとして頭角を現した23歳の西村だ。

 チーム2位の65試合に投げ7勝3敗、防御率3・89の数字を残した。藤川、久保田の「後継者」とも位置づけられた、セットアッパー的存在にもかかわらず、首脳陣は右腕にもっと大きな可能性を見ていた。来季も「勝利の方程式」を担うことは確実と思われていたが、山口投手コーチは「西村は先発タイプだと思う」と断言。来季先発ローテを争う競争の中に、秘密兵器的存在として飛び込ませることを決めた。

 先発で確定的なのは能見、久保、スタンリッジの3本柱のみ。ベテランの安藤、下柳、故障明けの岩田、成長株の鶴、2年目を迎える秋山らと壮絶なサバイバルを繰り広げる。「藤川、久保田を除いて若いのは(決まってない)な」と同コーチ。リリーフでも固定されるのは藤川、久保田のみ。その他は一切、白紙と位置づけ、投手陣全体の大シャッフルに発展する可能性もある。そのシンボル的存在が西村になる。

 28日からの秋季練習、31日からの秋季安芸キャンプで、西村は早速先発転向をにらんだ調整に入る。夏場に筋肉疲労を起こしたように、同コーチは「投げるスタミナをつけないといけない」と指摘。投げ込み、走り込みの両方に取り組み、長いイニングに耐えうる体に仕上げる。

 大学時代に先発経験はあるが、プロでは2軍でもリリーフ専門。140キロ台中盤の速球とキレ味鋭いスライダーで打者に向かっていくスタイルだ。「中継ぎの面白さが分かってきた」という西村だが以前は「いつかは先発をやってみたい」と願望を口にしていた。今季序盤に見せた快投に次ぐ快投は先発として大化けするポテンシャルの高さを示してもいる。勝負の3年目に臨む真弓監督は、大テーマのローテ立て直しへ、あらゆる手を探っていく。

 [2010年10月27日12時2分

 紙面から]ソーシャルブックマーク