若虎よ、センターを奪取せよ!

 3年目を迎えた真弓阪神が1日、高知・安芸で秋季キャンプをスタートさせた。真弓明信監督(57)は来季変更される統一使用球の対策として、外野の守備力向上を宣言。マートンを右翼で固定する構想を明かし、センターは守備範囲の広い選手を抜てきする方針だ。坂、大和にも外野の練習に取り組ませ、ポジション争いの激化でレベルアップをもくろむ。

 変革の秋だ。真弓監督がV奪還構想の一端を明かした。来季から12球団で統一使用球を用いる。従来よりも1メートル飛ばないように設計されており、本塁打性の打球がフェンス手前で失速するシーンが増えそうだ。

 「間違いなく変わると思うよ。外野の守備力を底上げしたい」

 今季は破壊力十分の打力で勝ち星を拾ってきたが、そうはいかなくなる。守備力の向上は、リーグ制覇に必須の条件。この日始まった秋季キャンプで、下地を作ることになる。

 指揮官はすでに来季の外野シフトの構想を練っている。金本の左翼に加え、マートンも右翼で固定する方向だ。今季は左右、中堅をめまぐるしくこなしたが、1つのポジションに集中させたい考えだ。「左翼と右翼で打球の質も違う。今のところはライトだ」。平野も二塁に専念させる予定。自然とセンターの位置が鍵を握る。経験や実績を考慮すると、今キャンプ不参加の浅井が最有力候補だが、この秋に若手の台頭に大きな期待を寄せている。

 ルーキーながら1軍に定着した藤川俊や柴田、田上、甲斐らキャンプ組を徹底的に鍛え上げる方針だ。さらに大和、坂にも外野の練習を取り組ませる。10人近くの候補を“激戦区”に放り込むことで、レベルアップをもくろむ。守備固めでの起用も含め、ディフェンスの強化につながるのは間違いない。外野ノックでは、初日から統一球を使用。「守りがしっかりして、打つほうでレギュラーを追い越せば、ポジションを取れる」と指揮官は飛躍を願った。

 キャンプ地に連れてきたのは、少数精鋭の23人。相当な練習量を確保するためだ。練習開始前に、真弓監督は若虎にこんなゲキを飛ばした。「春への戦いは始まっている。どんどんアピールしてほしい。この時期だからこそ変わるというか、変われるはずだ」。

 チームの改革はまず選手個々のチェンジから始まる。さっそく初日からノックバットを振りまくった。「多く打とうと思う」。ナインと首脳陣が汗にまみれて土台を作る。

 [2010年11月2日11時33分

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