闘将がついにほえた。監督就任以来、静かにチームを見守ってきた楽天の星野仙一監督(63)が12日、チームに闘魂を注入した。Kスタ宮城での紅白戦。若手投手の1人が外角中心に投げていたときだった。男性ファンのヤジが飛んだ。「外ばかり投げるな。当てるつもりで投げてみろ!」。本塁後方でネット越しに観戦していた指揮官は、ビビッと反応した。「そうだ!」。張りのある声が響き渡り、スタンドが沸いた。

 「ファンの目が選手を育てる。仙台のファンは優しい人が多い。厳しさも加えてくれれば」と話していた。ファンの叱咤(しった)激励を歓迎した。もちろん、チームメート同士の紅白戦。厳しいところを突くには限界もある。ただ、投手陣に攻めの姿勢を求めた。2日連続の実戦で、収穫と課題が見つかった。「内角の制球が悪すぎる。ぶつけてしまうという思いがあるのだろうけど、幅を広げる意味で内を突くのはいいこと」と力説した。

 就任以前から決まっていた所用のため、秋季練習はこの日が最後の指揮だった。練習開始時、選手を集め「ユニホームを脱いだ後の人生は長い。1球1打、毎日を大事にして実績を作って欲しい。誰1人、欠けることなく(来年2月のキャンプ地の)久米島で会おう」と熱い言葉を送った。

 まずは1週間あまりの指揮を終え「たくさん勉強させてもらった。選手と対話して、フツフツと感じるものが出てきた」と笑みをたたえた。オフの間、選手がどれだけ、たくましさを増すか。23日のファン感謝祭(Kスタ宮城)には不参加。2カ月半後の再会を楽しみに、杜(もり)の都を後にした。【古川真弥】

 [2010年11月13日8時58分

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