セ・リーグが3月29日に延期した今季開幕日、および4月中の東京ドーム、神宮、横浜でのナイター開催について、再考する可能性が出てきた。日本プロ野球組織(NPB)の加藤良三コミッショナー、労組プロ野球選手会の阪神新井貴浩内野手らが22日、都内に高木義明文部科学相、蓮舫節電啓発担当相らを訪ね、東京電力と東北電力管内でのナイター自粛を要請された。さらに選手会との協調も重ねて指導され、選手会が要望する4月12日のセ、パ同時開幕の可能性も出てきた。セは明日24日に緊急理事会を開き、対応を協議する。

 セ・リーグが、19日に変更したばかりの今季公式戦日程を再びダメ出しされた。加藤コミッショナーとセ・リーグ理事長のヤクルト新純生常務取締役、パ・リーグ理事長の楽天井上智治オーナー代行、阪神新井の4人が文科省を訪ね、経営者側はセ、パそれぞれの節電計画を説明した。加藤コミッショナーは極度の緊張からか、顔をこわばらせて訴えたが、高木文科相からは「国民の理解を得られていない」とズバリ指摘された。

 経済産業省の池田副大臣も含めた3要人から共通して要請されたのは、東京電力と東北電力の管内でのナイター開催自粛だった。セは4月5日以降、節電しながらのナイター開催を決めていたが、「多くの被災者、計画停電区域の人が厳しい状況にある。社会の理解を得てプロ野球を開催することが重要で、可能な限りナイターは自粛してもらいたい」と、高木文科相から強く要請された。

 加藤コミッショナーは、26日にも臨時の12球団オーナー会議を開いて対応を協議すると伝えるのが精いっぱいだった。セの新理事長は「監督官庁から自粛要請があった以上、オーナー会議、セ理事会で協議するのが当然。最終的には監督官庁の強い要望に全面的に従っていくことになるだろう」と、4月中のナイター開催見直しを示唆した。オーナー会議の前の明日24日に緊急理事会を開き、対応を協議していくことになった。

 蓮舫節電啓発担当相からも、ナイターと同等の電力を消費する東京ドームでは、デーゲームも開催を控えるよう要請された。さらに同相は開幕日について「セ・リーグが4日間延期することにどういう議論があって、どういう根拠があったのか?

 選手の意見をくみ取っていない。新井会長が言うことに全て賛同です」と一喝。選手会が主張する4月12日のセ、パ同時開幕案を支持した。

 パ井上理事長は「12球団そろって行動するのが重要な時期。選手会が希望している同時開幕の希望を重く受け止めている」と発言。セの新理事長は「セ、パが一致するかどうか個人的にコメントできない」と前置きした上で、「(4月)12日も1つの選択肢だし、もっと延ばすというのもあるかもしれない。理事会で開幕についても話さないといけないでしょう」と話すなど、選手会の要望を受け入れる可能性もでてきた。開幕と定めた29日まであと6日。セが再び窮地に立たされた。