<中日9-1楽天>◇22日◇ナゴヤドーム

 オレ竜打線が闘将のしかけた奇襲を打ち砕いた。試合前、楽天の先発が発表された。

 「えっ?」。

 かつて中日に在籍した小山が11年ぶりの先発マウンドに上がった。左腕川井を想定し、6番で先発起用された平田良介外野手(23)は驚いた。すると初回、和田の適時打で先制し、なおも満塁で打席がまわってきた。

 「頑張れば打てる。右(投手)を打てばアピールにもなる」。

 開き直ると、内角球をしぶとく中前に運んだ。2点適時打で完全に流れをつかむと谷繁、吉見にも適時打が出て一挙5点。情報戦ではかつての指揮官、星野監督にいっぱい食わされたが、ものともしない速攻劇だった。

 さらに平田は中越え二塁打、左前打、中前打とプロ初の1試合4安打と大暴れ。打線は終わってみれば11安打で今季最多9得点を奪った。前日、西武に13失点で大敗を喫したショックを、すぐさま大勝で消し去った。

 「じつは3時間しか寝ていないんです。スタメンやって思ったらテンション上がってしまって…」。

 試合後、平田は暴露した。前日の夜はこの日のスタメンを想定し、興奮して夜中3時まで眠れなかった。さらにこの日はナゴヤドームでの2軍戦に出場のため起床は午前6時。わずか3時間の睡眠で臨んだ2軍戦は4タコだったが、重圧のかかる1軍で最高の仕事をやってのけた。

 「きょう勝ってお酒のんで、明日も勝ってお酒のんで、テンション上げ上げでいきましょう!

 僕は寝たいです…」。

 お立ち台でファンを爆笑させた。交流戦前は貧打と言われた打線が若い力の台頭で活気づいてきた。【鈴木忠平】