<阪神5-3ソフトバンク>◇3日◇甲子園

 打線を“着火”したのは、ひたむきなアニキの1打だ。阪神金本知憲外野手(43)が2回先頭で右翼線への鋭いライナーで出塁。そこから無死満塁まで一気に攻め立てて岩田の決勝打につないだ。

 5月29日に仙台で決勝逆転2ランを放って以来、3試合ぶりの安打。仙台での勝利後に「これを再出発にしないといけない」と誓っていたが、その後の札幌で2連続完封負けとチームのムードが落ちていた。

 前日2日には本隊を離れて札幌から早朝移動。甲子園に直行し、ただ1人、休日返上練習を敢行した。最年長43歳の必死な背中はナインへの無言の喝になったに違いない。

 さらに試合後、金本は歓喜に沸く選手がいなくなったベンチに1人残り、大鏡の前で約30分バットを握った。03年にFAで加入し野球にかける姿勢と成績で「ダメ虎」を変えたといわれる。チームの危機に、またも存在感が際立った。