<オリックス1-4ソフトバンク>◇18日◇京セラドーム大阪

 「岡田ジェットコースター」の終点は、まさかのCS圏外だった。オリックスが引き分け以上でCS進出が決まるソフトバンクとの最終戦に、エース金子千尋投手(27)で完敗。大型連勝と大型連敗を繰り返した末に、9月15日から守り続けた3位の座を勝率1毛差で西武に逆転された。2年目の岡田オリックスは4位で終えた。

 オリックスT-岡田がタオルに顔をうずめ、金子千はファンへのあいさつ中にぽろぽろと涙を落とした。エースが今季最短6回途中でKOされ、打線は散発4安打の完敗。CS進出の勝者と敗者を分けたわずか勝率1毛の差を、岡田彰布監督(53)は静かに受け入れた。

 「振り返れば悔しいが、しょうがない。最後チャンスある中で力を出しきれんかったのやから。1年間の悪い面が(投打)両方とも最後に出たわな」

 大型連勝と連敗を繰り返したチームが引き分け以上で自力でCS進出できる大一番で、力尽きた。

 開幕前の楽天との練習試合。岡田監督は星野監督と打撃ケージの裏で2人だけで話し、こう言った。「うちのチームに優勝争いさせたい。その経験で絶対に選手が伸びる」。借金30のチームを託された09年秋から、指揮官の考えはここに尽きる。厳しい言葉で叱り、主力も容赦なしで2軍に落とす「怒将」スタイルは、すべて強化のため。コーチにも厳しい言葉を向け、嫌われ者になった。「ホンマなら怒りたくないで」。車の中で漏らしたこともある。

 「怒将」は良くも悪くも大きく作用した。特に今季、大型連敗の歯止めが利かなかった。ある主力は「ベンチの空気をなかなか良くできなかった」と下を向いた。相手だけでなく、ベンチの重苦しい空気と戦っていた。本当はそこも乗り切る力をつけてほしかった。

 144試合を終えあらためて愛のムチを打った。最大の矛先は4番に向いた。

 「T(-岡田)は1年間、打撃をしてない。辛抱して使ったけど、今年はお仕置きの意味の4番よ。外すのは簡単。本人が野球人生にどういう形で接していくか。来年は4番打たさんよ」

 就任1年目の5位から1つ順位を上げての4位。「ここまできたが、本当の意味で力がなかった。こういう経験でき、負けたことで何か得るものある。心に刻んでやってほしい」。最後まで厳しい姿勢を貫いた岡田監督の2年目が終わった。【押谷謙爾】