レンジャーズ・ダルビッシュ有投手(25)が、日本球界の威信をかけて世界NO・1の称号を奪うことを宣言した。24日、札幌ドームに1万811人が詰めかけた一般公開の退団会見を開催。挑戦の動機の1つに、日本人選手の米での低評価と、日本球界でのモチベーションの低下があったことを吐露。本音で明かした発奮材料を胸に、新たなステージで頂点を目指すことを誓った。

 ダルビッシュが心を許す、数少ないマスコミ関係者かもしれない。この日、退団会見で代表質問を務めた札幌テレビ放送(STV)永井公彦アナウンサー(45)は、入団当初から背番号11を追い続けてきた1人。名前の漢字をもじり、日本ハムのユニホームを着た“ハム彦”のキャラクターで知られるベテランアナウンサーが、ダルビッシュとの思い出を振り返った。

 永井アナ

 プロ2勝目を挙げた時でしたか。札幌の合宿所前から全国中継をしたのですが、1対1で話したのは、その時が初めて。普段“近寄るなオーラ”を発していますが、礼儀正しく、誠実に対応してもらったことを覚えています。

 同局のファイターズ関連の番組で、人気だったのが「ダルQビッシュ」という名物コーナー。全国放送ではめったに見せない一面をお茶の間に届けた。

 永井アナ

 きっかけは入団2年目の春季キャンプでした。突撃取材ということでダルビッシュが走り込んでいる時に“ハム彦”姿で近寄って行ったところ、手で制された。その後、名護球場で向こうから「この前はすみませんでした」って。あらためて対応してくれるというので、インタビューをさせてもらったのが始まりです。

 ファンの質問に、おもしろがって答えるダルビッシュの姿が印象的だった。

 永井アナ

 野球に対しては真面目だけど、素顔は遊び心を忘れない人。人見知りだけど、人には興味があるんです。「緊張したことはありますか?」という質問に「小学校の運動会でリレーの選手をした時」と答えたかと思えば「初恋はいつですか?」という質問には大いに照れる。札幌ドームの給湯室でインタビューした時は、棚を開けて審判用のカップラーメンを出してみたり、番組で使うボードのフリップを勝手にめくってしまったり…。

 純粋でやんちゃな野球少年の素顔を、長年、間近で見てきた。

 永井アナ

 ダルビッシュって相手の肩書を気にしないんです。ちゃんとした質問には答えるし、そうじゃない場合は答えない。ローカル局の人間でもキー局と同じ土俵の上で勝負できるんだと感じさせてくれた。退団は、けっこう悲しいですね。