DeNAは2日夜、中畑清監督(58)がインフルエンザA型に感染し、沖縄・宜野湾キャンプをしばらくの間、休むと発表した。この日の練習終了後、宿泊ホテルで医師の診察を受け判明した。最低2日間は療養が必要で、復帰時期は医師と相談して判断する。監督不在の間は、高木豊ヘッドコーチ(53)が代わりに指揮を執る。順調なスタートを切った新球団だったが、キャンプ2日目で思いも寄らぬアクシデントに見舞われた。

 午後9時。宜野湾市内の選手宿舎で急きょ会見が開かれ、楠本球団広報部長が「本日16時半に医師が往診し、中畑監督のインフルエンザA型の感染が判明しました」と発表した。

 同監督はこの日の全体練習後、のどの違和感と微熱を訴えた。球団関係者から促され、前日1日には威勢のいい声を張り上げながら見守った特守、特打を見届けることなく宿泊ホテルへ戻った。スタッフが急いで周辺の病院を調べ、往診を依頼。同監督は37度2分の熱があり、感染拡大を防ぐため、そのまま自室隔離となった。DeNAはこの日までに、スタッフ2人がすでに感染。全選手の部屋にはうがい薬が配られ、報道陣にも、予防用マスクが配布されていた。

 昨年12月の就任以来、中畑監督はイベント、激励会、取材などで多忙を極めた。休日はほとんどなく、キャンプイン。初日には「ちょっと風邪気味だから、隔離されちゃうかもな」とこぼし、この日の練習開始前にも、「熱はないよ。熱が出たら終わりだからね。鼻が出るのは鼻炎なんだけど、これじゃ歌手として失格だな」と、冗談を交えながら漏らしていた。明るい表情の裏では、疲れの蓄積から体力が低下し、通常よりも感染の確率は高まっていたとみられる。

 練習中は、不安を感じさせないほど元気な姿を見せていた。朝からの雨に海からの強風が重なり、体感温度は10度以下。それでも「熱いぜ!

 じゃなく寒いぜ!

 だけど、こういう時にどんな練習をするか」と、逆にやる気をみなぎらせた。投内連係中には、ファンからの求めで、ジャンパーを脱いで背番号を披露。立ち入りを制限しているブルペン裏に巨人スコアラーを招き入れてしまうなど、いつも通りキヨシ流全開だった。

 中畑監督は広報を通じ、「自分は元気なんだけど、選手、コーチの皆にうつしてしまっては迷惑をかけてしまうので、勇気ある撤退をさせていただきます」とコメント。不在の間は高木ヘッドコーチに任せることとし「数日間の練習内容は、全く心配していません。うちのスタッフと選手は元気で最高ですから。みんな動きもいいし、このままいければいいと思います」と信頼を示した。

 キャンプ2日目にしての思わぬ展開。「私はもう1回パワーを蓄積して、グラウンドに戻りますので、また応援しに来てください!

 ちょっと会えないけどね」。夕食ではご飯のおかわりをしたがるほどだったという。この“らしい”元気がせめてもの救いだ。【佐竹実】

 ◆インフルエンザにかかった際の“隔離”期間

 一般的には、発症前と発症してから3~7日間はウイルスを排出するといわれ、その期間は、外出を控える必要がある。排出されるウイルス量は解熱とともに減少するが、解熱後も排出するといわれる。学校保健安全法では「解熱した後、2日を経過するまで」が出席停止期間。「伝染のおそれがないと認められたときはこの限りではない」となっている。