つまらん!

 中日権藤博投手コーチ(73)が8日、刺激的な言葉で若手バッテリーに初カミナリを落とした。今キャンプ初の実戦形式メニューとなったシート打撃。期待の若手投手や控え捕手陣の動きが、そろって覇気のないプレーに映ったようで「つまらない。見ていて腹が立った」とバッサリ。期待が大きいからこその苦言だった。

 沖縄とは思えない寒さだった北谷球場に“カミナリ”が落ちた。シート打撃で投手陣に鋭い目を光らせた権藤コーチは、低調な内容に我慢がならなかった。ダンディーな73歳には似つかわしくない刺激的な言葉で斬った。口調は穏やかだが、目は笑っていなかった。

 権藤コーチ

 つまらない。見ていて腹が立った。勝負をするような顔じゃない。キャッチャーもいい投球をしても知らん顔。これじゃあピッチャーも乗れない。あんなにグダグダになるとは思わなかった。ハツラツさがなかった。

 投手はオリオールズ入りした左腕チェンの穴埋めが期待される大野、小川、岡田の左腕トリオに山内、清水、武藤と1軍でフル稼働が期待される6人が登板。しかし、4連打を浴び2失点の大野を筆頭にアピール不足だった。

 矛先は投手を支え、もり立てるはずの捕手陣にも向いた。前田、松井雅、田中、福田の4人は淡々と捕球するばかり。正捕手谷繁、2番手小田に追い付け、追い越せと期待を寄せる面々のプレーも覇気がないように映った。はじいたボールの処理について指導を受けた前田は「『実戦に即してやれ』と言われました。よく見ていただいているし、分かりやすい」と神妙な面持ちだった。

 肩書は投手コーチだが、98年に横浜を率い日本一に輝いた名将。全体を見渡す力も十分。絶対的な信頼関係で結ばれている高木監督も、この日のシート打撃には「収穫まではない。若手ピッチャーに目立ったところがなかった」と渋い表情だった。指揮官より先に、名参謀が全体を見渡しカツを入れた格好だ。

 「これからは登板前と登板後に、しっかり言うよ」。同じ出来事が起きないよう、目を光らせ口も出す。第1クールは静かに全体を見渡していた権藤コーチが、精力的に動きだした。【八反誠】