ブラゼルより打ったで~。阪神金本知憲外野手(43)が初のランチ特打で驚異の33発だ。97スイングで本塁打率は3割4分。右肩の故障などどこ吹く風のどでかいフォロースルーで、21本のブラゼル、18本のマートンを上回った。復活どころか「開幕4番」ホンマにあるかも…。

 場内の視線は背番号6に集中していた。昼食時にもかかわらず、売店の周辺から人が引いた。観衆はおなかが鳴るのも忘れ、金本が柵越えをするたびに大きな拍手を送った。無料で見るにはぜいたく過ぎる極上のショータイムだった。

 初のランチタイム特打で放った本塁打の数は実に33本。3連発もあり、3スイングに1本以上のハイペースだった。両翼98メートルの宜野座球場が鉄人スラッガーのパワーの前に「箱庭」になってしまった。

 4日に初めて屋外フリー打撃を解禁したときは50スイングで10発。力強い打球が見る者を驚かせたが、迫力はさらに増した。大きなフォロースルーから飛び出すボールは右翼フェンスを簡単にまたいでいく。この2年の不振を招いていた右肩の痛みが今はない。そのため、崩れていた打撃フォームが次第に絶頂時の形に戻りつつあることを、数字で実証してみせた。

 大事なゲストへのプレゼントだった。プロ入り当時から通う広島のトレーニングジム「アスリート」の平岡洋二代表が客席で食い入るように見守っていた。前日10日に食事をともにした。ここまでの体調を報告し、復活の手応えを口にしていた。

 平岡代表はオフのトレーニングで全盛時並みの数字を次々とたたき出す姿を見て、復活を確信していたが「生で見て、ひと安心というか、ふた安心。キャンプ序盤としては100点満点。4番いけるんじゃないか」と笑みを浮かべた。

 金本の機嫌もMAXだ。帰り際に「このTシャツ、いいやろ」と笑顔で登場。名付けて「新井3冠王

 Tシャツ」。大きく「失策王」「併殺打王」と書かれ、肝心の「打点王」は見えないほど小さな字。昨年から構想していた自身完全プロデュースの力作を披露した。「後ろにも色々書いてあるんや」という背部には「球界のファッションリーダー」「八方美人」など、皮肉の効いた言葉がズラリ。

 今日12日からシートノックで左翼の守備に入る予定。スイングも、スローイングもジョークも日に日に切れ味が増している。隣りで特大弾をぶっ放すブラゼルもすごかったが、役者ぶりはやはり別格だった。【柏原誠】