これがオレの野球だ-。阪神和田豊監督(49)が第3クール初日の11日、初めて「バントゲーム」を指示した。攻撃方法はバントと1イニング1度のバスターのみで、4アウト制というルール。秋季キャンプでも実施された練習で、チーム全体に統一球対策として1点を奪いに行く意識を植え付けた。

 「昨年1年、統一球を経験しての反省がある。どうやって1点をもぎとるか。クリーンアップだから関係ないとかじゃなく、本当に最後の勝負どころではそういうこともあり得る。きょうの練習は、今年はこういう野球をやっていくというメッセージでもある」

 若手だけではない、鳥谷、新井、城島ら主力級もバントを転がした。練習後には全員を集めて鳥谷、新井を名指して、シーズン中もバントを命じることがあることを通達した。チーム一丸となって1点をもぎ取る意識を植え付けた。

 4位に甘んじた昨季、阪神打線の犠打数はリーグ最少の118個だった。リーグ最高の打率を誇りながら得点数がヤクルトに次ぐ2位だった要因の1つ。和田監督は「走者一塁」からの攻撃パターンを変える必要があると判断した。

 「新井や鳥谷なんかは自分で考えて(バントのサインを)出していた。何も考えずにサインを受けるのと考えがある中でサインを受けるのとでは全然違う。ただ、まだまだ成功率を上げていかないといけない」

 あえて、選手にサインを任せたのも、バントに対する積極性を持ってもらおうというもの。首脳陣が理想とするのはノーヒットで1点を取る野球。長打を待つスタイルから、1点を奪いに行く野球へ。阪神の攻撃が変わる。【鈴木忠平】