「仁義なき戦い」の幕が開いた。16日、阪神クレイグ・ブラゼル内野手(31)と城島健司捕手(35)がそろって一塁特守を敢行した。一塁の定位置を争うライバル同士が火花を散らした。和田監督も2人の起用法について「半々ということはない」と用意されたイスが1つであることを明言。まもなく始まるオープン戦で重量級の戦いが繰り広げられる。

 宜野座ドームに火花が散った。城島はこの日、人工芝対策のために特守を予定していた。午後1時過ぎに室内練習場へ向かうと、ブラゼルも飛び入り参戦。今季一塁に挑戦する男と、これまで虎の一塁を守ってきた男がミットをはめて、向かい合った。

 「おいっ!」。ブラゼルが捕球ミスすると、城島が容赦なく突っ込みを入れた。陽気な2人だけにピリピリとした雰囲気こそなかったが、久慈内野守備走塁コーチの厳しいノックに飛びつく表情は真剣そのもの。それもそのはず、球界屈指の打力を誇る2人のスラッガーに用意されたイスは1つ。和田監督は火花を散らす両者の起用法について、こう話した。

 「半々ということはない。どっちかが軸になってというふうに考えている。ただ、どっちかが軸になったからもう1人の出場が極端に減るということではなく。使い方を考えないともったいない」

 日米通算292本塁打の右の大砲と、同じく107本塁打の左の助っ人。他球団がうらやむ重量級2人を同一ポジションで抱えているが、あくまでレギュラーは1人。併用ではなく勝てばレギュラー、負ければ…。定位置をかけて、19日巨人戦で開幕するオープン戦から2人同時に起用し、競争させる方針も示した。通常このクラスのオープン戦は開幕への調整が主題となるが、ポジションをかけたガチンコバトルの色合いが濃い。

 「ブラゼルが一塁を守れるのはわかっている。城島はこれから守っていかないといけない。かといってブラゼルの打席を減らしたくないし、DHをうまく使っていきたい。刺激し合いながら。オープン戦が進むにつれて競争しながら」

 オープン戦では一塁を城島が守り、ブラゼルが指名打者というパターンが増えそうだ。城島が右肘、左膝故障の影響で捕手復帰のメドが立たない状況だけに、開幕以降も2人の競争が続く可能性はある。

 ブラゼル

 タイミングが合ったから2人でやったんだ。状態はいいよ。土のグラウンドでやったけど、人工芝でもやりたいと思っていた。

 城島

 人工芝と土の違いを確かめたかった。グラブさばきとか、バウンドが違うね。(ブラゼルが「楽しかった」と言っていたことに)ああ、そう。ありがとうございます。

 実績ある2人だけに余裕をたたえ、笑顔は絶やさない。ただそこは勝負の世界。ブラゼルは再来日時に「ベンチに座ってツープラトンでやるつもりはない」と宣戦布告していた。両者の胸中には激情が渦巻いているはず。“仁義なき一塁バトル”から目が離せなくなってきた。【鈴木忠平】