これって毒ガスなの?

 激励なの?

 野村克也氏(76=楽天名誉監督)が17日、阪神の宜野座キャンプを訪れた。01年に阪神監督を退任して以来、初めてだったが、野村節は健在だった。

 存在感は抜群だった。ブルペンに野村氏が現れると和田豊監督(49)が隣に座った。師弟の語らいは30分以上も続いた。視察後、和田監督との会話を問われた野村氏はにやりと笑った。

 「巨人が強いチームづくりをしたから大変だねと言ったんだよ。下手すると巨人の独走になる。Aクラス狙いの方がいいんじゃないか。3位か、2位に入ればチャンスはある。短期決戦は何が起こるかわからないからな」

 7年ぶり優勝へ燃えている和田阪神に冷や水をぶっかけるような2位狙いのススメだった。和田監督は練習後、報道陣から伝え聞くと「何を~」と少し眉をひそめたが、すぐに笑顔で野村元監督へ感謝を口にした。

 「おっしゃるような2位、3位狙いというのはまったくない。そういうチームに勝つことを考えるのも楽しいよね。野村監督がやってきたことは、ものすごく参考になる。きょうは3年間で学んだことを再確認させてもらった」

 99年から01年まで選手、兼任コーチとして「弱者の戦い方」と言われる野村イズムを吸収した。この日も、それをどうやって選手に伝えていくかなどアドバイスがあったという。表では毒ガスを吐きながら、裏ではしっかりと和田監督をサポート?

 するあたりも、一筋縄ではいかない野村流だった。【鈴木忠平】