中日大島洋平外野手(26)が恩師にささげるチー厶初猛打賞をマークした。22日、アジアSBの韓国KIA戦(沖縄・北谷)に「1番中堅」で出場。1打席目に中前打を放つと、6回には右前打、7回にも左前打と、打ちまくった。少年野球チーム「名古屋平針HBC」で指導を受けた中日OB河村保彦氏が21日に膵臓(すいぞう)がんのため71歳で死去。恥ずかしいプレーはできなかった。

 大島のバットから快音が響いた。同点で迎えた7回。2死一、三塁から大島が3番手左腕・陣該受(ジン・ヘス)の外角直球をレフト前に流し打った。三塁走者・岩崎達が生還して鮮やかに勝ち越し。初回に中前打、6回には右前打、3安打固め打ちで、今季チーム初の猛打賞を決めた。6回には盗塁も決めるなど、大暴れの1日だった。

 大島

 今日の試合はしっかり自分のスイングができました。盗塁もこのキャンプの課題にしているので決められて良かった。

 恩師の訃報を知らされたのは前夜だった。小学4年生で軟式野球を始めたときにチームの代表を務めていたのが河村氏だった。6年生になり卒業するときには「念ずれば花開く」という言葉を贈られた。プロになっても解説者として見守ってくれる同氏の存在が励みになっていた。今キャンプでの再会を約束して沖縄入りしたが、その願いはかなうことはなかった。

 大島

 とても残念です。1月下旬に病院にお見舞いにいったときは元気そうだったのに…。その時はとにかく今年はレギュラーをとれと言われました。やっぱり今日は変なプレーはできないと思っていた。(今日の結果は)河村さんのおかげですかね。

 決してポジションを約束されている立場ではない。和田の左翼は確定しているが、開幕戦の中堅、右翼は今後のアピール次第。昨季96試合に出場してゴールデングラブ賞を獲得した大島も例外ではない。第3クールではグリップの位置を低めにするなど、打撃力アップに向けて試行錯誤を続けている。

 大島

 上半身と下半身のバランスが悪かったので、休み(20日)前の特打のときからバットの構える位置を変えた。シーズン中も体が疲れているところでも、自分で工夫してやっていかないといけない。これを続けていきたい。

 この日の試合は雨予報のため中止が予想されていた。それでも試合時間になると不思議と雨が上がった。キャンプでアピールして絶対にレギュラーをつかみとれ-。恩師から大島へのプレゼントだったかもしれない。【桝井聡】