<オープン戦:ヤクルト3-2阪神>◇25日◇浦添

 「ポスト青木」最有力候補のヤクルト上田剛史外野手(23)が、先制2ランで猛アピールを決めた。阪神とのオープン戦初戦に「1番中堅」で先発出場。第2打席で、今キャンプ初本塁打を右翼席に運んだ。走攻守3拍子そろう23歳。守備では5回1死一塁から中前打で三塁を狙った阪神鳥谷を刺した。攻守にわたる好プレーで、激しい外野争いから1歩抜け出した。

 二塁を回ったところで、スピードキング上田がようやく走る速度を緩めた。3回1死二塁、阪神鶴の高めに入ったスライダーをとらえた。「バットの芯に当たったんで、(外野を)越えたとは思ったけど、入るとは思わなかったです」。昨季は2軍で2本塁打だが、関西(岡山)では甲子園で日本ハム斎藤(当時早実)から本塁打を放った実績がある。ここぞのパンチ力を猛アピールした。

 「ポスト青木」が最大のテーマになる今キャンプ。結果で、頭1つ抜け出している。1月はブルワーズと契約を終えたばかりの青木と沖縄で合流した。試合出場を約束されない状況で海を渡る先輩と、5日間体を追い込んだ。「メジャー1年目でレギュラーを確約されてないし、環境は違うけど立場的には一緒。タイトル取るぐらいの気持ちでやれと言われました」と励まされた。

 昨季はイースタン・リーグで55盗塁を記録した。走塁と守備は青木と同等以上の力がある。課題の打撃力向上に取り組み、ここまで9試合で31打数13安打の打率4割1分9厘。23日の日本ハム戦で初めて4打数無安打に終わったが、1試合で挽回した。

 守備では5回1死一塁、中前打で三塁を狙った鳥谷を強肩で刺した。雨でぬかるむグラウンドも問題にしない。球場には新戦力を見極めるため、各球団のスコアラーが集結。小川監督は「ああいうのを見せると違う。しっかりとアウトにすることが大事」と、シーズンへの布石になると評価した。

 死球で出塁した7回1死では、盗塁を狙って刺された。「もう少し思い切ったスタートを切りたい」と反省は忘れない。今後は各球団の主力級投手が登場し、これからが本当の勝負になる。雄平、武内、飯原ら外野を争うライバルは多い。「1番打者として、毎試合出塁することを考えている」と言う。塁に出れば、足でかき回し本塁を狙う。大砲の大型補強がないチームに、スピード野球が新たな魅力になる。【前田祐輔】

 ◆ヤクルトの「ポスト青木」争い

 青木が抜けた外野のポジションを上田、雄平、武内、飯原、比屋根渉外野手(24=日本製紙石巻)、福地らで争う。打者転向3年目の雄平は、22日の韓国ハンファ戦で本塁打を放つなどパンチ力が魅力。「ボルト」比屋根は上田に匹敵する俊足が売りだ。順当ならバレンティン、ラスティングス・ミレッジ外野手(26=ホワイトソックス傘下3Aシャーロット)が右翼、左翼を守るため、レギュラーポジションは1つだけになる。