手の内は見せんぞ!

 広島前田健太投手(23)が1日、「小出し戦法」で中日打線をかく乱することを明かした。4日のオープン戦中日戦(ナゴヤドーム)で、今季対外試合初先発する予定。3月30日の開幕戦と同じ状況での登板だけに、策を隠しながら投球する作戦だ。この日は、午前中に広島市内の広島銀行本店でセレモニーに参加した後、マツダスタジアムで残留組の練習に参加した。

 エースは考えている。前田健の今季対外試合初マウンドは、くしくも開幕戦と同じ状況が用意された。中日の先発も、開幕投手候補の1人である吉見が予想される。1カ月後にせまる、オープニングゲームをにらみ、前田健の投球だけが本番と異なるものになる。

 「開幕の相手だし、すべては見せない。隠すところは、隠すとかしながら。全部全力でやることはない」

 12年シーズン仕様の投球の全容は明かさない。完全に抑え込んで負のイメージを付けるやり方もあるが、「打者は去年の(イメージ)が強く残っていると思う」と冷静に判断した。

 ただ、対戦する中でデータを得たい相手もいる。新加入の4番候補山崎と、高卒ルーキー高橋周だ。高橋周は卒業式などの兼ね合いで出場は微妙だが、自身の情報を隠しながら、相手情報を引き出していく。

 「知らないバッターは少ないですけど、その2人とかですね。対戦する中で、何か感じられればいい」

 中日戦は相性がよくない。昨季は7試合に投げ、防御率2・59とまずまずながら1勝2敗だった。1点が勝敗を左右するため、試合前の駆け引きも重要になってくる。

 依然として、調整段階であることは事実だ。試合形式では、2月28日の紅白戦で2回を投げたのみ。対戦打者が、自軍から敵軍に変わることでも、より感覚が研ぎ澄まされていく。

 「実戦でしか分からない、配球とか、投げる感覚がある。それを取り戻したい。まずは、もうちょっと真っすぐを磨きたいので、真っすぐ中心でやりたい」

 ここからは、シーズン同様に週1回の登板で開幕を逆算して調整していく。初の開幕投手を務め10年シーズン、白星を挙げた相手はくしくも中日だった。昨年は阪神マートンに先頭打者本塁打を浴び、前半戦を不振にあえいだ。開幕戦が、シーズンを占う1戦になる。スタートダッシュを決めるためにも、万全の策を講じて本番に向かう。【鎌田真一郎】