<オープン戦:中日3-2広島>◇3日◇ナゴヤドーム

 “あの”憲伸が帰ってきた!

 4年ぶり古巣に復帰した川上憲伸投手(36=ブレーブス2A)が、今季初実戦となる広島戦に先発して2回2安打1失点に抑えた。08年9月24日ヤクルト戦以来、1256日ぶりとなる本拠地マウンドで躍動。バックネット裏に陣取ったライバル球団の007も復活を確信し、警戒感をあらわにした。

 頼もしい背番号11がナゴヤドームに帰ってきた。1回こそ松山の適時二塁打で失点を許したが、2回には先頭の会沢を3球で追い込んで最後は104キロのスローカーブで見逃し三振。続く末永を左飛に打ち取ると、最後は天谷からも外角の134キロ宝刀カットボールで見逃し三振を奪った。狙い通りの奪三振だった。

 川上

 楽しく、ほどよい緊張感で投げることができた。懐かしい声援が聞こえてきましたし。変化球をばらつきなく投げたいというのがあった。最後の外(のカットボール)は球威あるなしにして腕を振ってコントロールできた。

 キャンプでは変化球はほとんど封印していた。それをこの日は解禁。特に2回はカットボール、フォーク、シュートと持ち球を次々と試して投球を組み立てた。最速は143キロにとどまったが、微妙なコントロールと投球術で相手を手玉に取る姿は、竜のエースに君臨していた4年前と同じ。この姿に驚いたのはライバル球団のGTスコアラーだ。

 阪神御子柴スコアラー

 やっぱりコントロールがいい。(4年前までの)中日時代とイメージは変わらないね。肩を痛めてたって聞いてたけど、そんな感じはない。見ていて気持ちいい。

 巨人中里スコアラー

 昔のピッチングそのまま。特に2イニング目は憲伸さんらしさが出ていた。

 ライバル球団が警戒感を強めるにはワケがある。川上は日本球界で112勝を挙げているが、もっとも白星を積み重ねたのが阪神戦の27勝(17敗)。次いで巨人戦の24勝(18敗)だ。かつてエースと呼ばれた男はGTキラーとして恐れられた。川上がローテに加わることは3連覇を狙う中日にとって大きな意味がある。

 憲伸節も全開だった。試合後に球速について問われると「争っているところは岩瀬さんや山本さんなんでそこは超えられたので収穫」とちゃめっ気たっぷりに笑った。久しぶりに足を踏み入れたナゴヤドームのロッカー室も「すごく居心地がいい。自分の家よりも居心地がいいくらい」。卓越した投球術と周囲を笑わせるトーク術。かつてのナゴヤドームを沸かした男が、4年のときを越えて帰ってきた。【桝井聡】