<オープン戦:楽天1-0西武>◇7日◇明石トーカロ

 楽天が明石(兵庫)から、再び歩み始める。7日、西武とのオープン戦で完封勝ち。練習試合を含めた対外試合の連敗を5で止め、オープン戦4試合目で初勝利。昨年3月11日の東日本大震災から、間もなく1年。そのとき試合をしていた地で、けじめの勝利を飾った2年目の星野楽天。「心をひとつに」して、シーズンへの準備を整えていく。

 嶋のガッツポーズには、さまざまな思いがこもっていた。1点リードの9回。4番手の青山が1死一、三塁のピンチを背負う。シーズン中のような緊迫感が漂う中、5番栗山を三邪飛で2死。続く浅村には追い込んでから3球ファウルで粘られたが、空振り三振を奪った。その瞬間、嶋は右拳を強く握り、マウンドに走った。「勝ってなかったので、最後は少し緊張しましたね」。オープン戦とはいえ、チームとして勝ちにこだわる姿勢が見えた。

 昨年3月11日、同じ明石で行われていたロッテとのオープン戦の8回、遠く離れた東北で東日本大震災は起こった。試合は打ち切られ、帰る場を失った。翌12日から横浜、岐阜、名古屋、甲子園、神戸、福岡、神戸、札幌、大阪と渡り歩いた。仙台に戻ることができたのは4月7日。時は過ぎても、チームの歩みは一時止まったかのようだった。

 約1年後、再び明石に戻り、ようやく対外試合初勝利をマークした。6回無失点と好投した戸村は「練習が終わって、試合を見てましたね」と、当時を振り返る。エース田中も「新幹線で(横浜に)移動してました。もう1年たつんだなと。その時のことを思い出しますね」と話すように、記憶もよみがえっていた。

 明石での試合は1試合だけ。投打の歯車が合わず、対外試合5連敗を喫していたが、嶋は「これを今年のいい流れにしていきたいです」と言葉に力を込めた。昨年5位に沈んだチームは変わりつつある。若手に芽生えてきた自主性。2月24日、沖縄・恩納村での韓国サムスン戦。敗戦後、銀次ら若手が志願して約1時間の特打を行った。練習拠点としていた金武町まで車で約20分かけて戻り、打ち込んだ。嶋は「勝ちたいんで。チームのまとまりがでてきたかなと思います。みんな一緒の方向に向かっている」と一体感を口にした。

 星野監督は「明石だからってまだ、(3月11日まで)あと3、4日あるだろう。そのときに話そう」と、あえて思いは口にせず胸に秘めた。今季初勝利にも「二遊間がよく守ったよ。早め早めに点をとってやらんと。もう少しだね」と、気を緩めなかった。球団創設8年目は、震災復興元年でもある。節目の地で得た価値ある1勝を無駄にしない。【斎藤庸裕】