<オープン戦:ロッテ6-5阪神>◇16日◇QVCマリン

 開幕戦が楽しみになってきた。能見篤史投手(32)がロッテ打線に新球カットボールを試して好感触。5回4安打、5奪三振で1失点と順調な仕上がりを見せた。視察した他球団スコアラーもエースの新球に戦々恐々。投球の幅を広げて、進化した左腕が開幕へ弾みをつけた。

 ネット裏で視察するスコアラー陣の持つペンが動いた。能見の立ち上がりだ。1回1死走者なし。根元を遊ゴロに打ち取ったのを見届けるとチャート表に球種を記す。「カットボール」。本番まで2週間に迫り、新球習得をアピールだ。広島奥スコアラーも「序盤に何球か投げていた。去年は使っていない。キャンプ中から練習しているという報告はあった」と言う。警戒を抱かせるには十分なデモンストレーションだった。

 サウスポーは「遊びで投げているだけ。勝負球にするつもりはない。遊びですよ~」と受け流す。それでも、配球の幅を広げる意味で、有効な変化球になるのは間違いない。いかに2ストライクまで達するか。カウントを稼ぎ、打者を幻惑させる球種になる。今年もまた「奪三振マシン」になる予感が漂ってきた。

 1回から全開だった。伊志嶺、井口を変化球で空振り三振。4回には1死一塁でサブローに制球力も見せつけた。打者有利の2ボール1ストライク。ここから内角低めの直球でカウントを整え、最後は外角低め直球で見逃し三振に封じた。

 「(テーマは)基本の真っすぐでファウルをとること。組み立てはそこからになる。まずまずです。感触として、あまり悪くない。まだまだ、これからです」

 今季最長の5イニングを1失点。前回登板した10日の日本ハム戦(甲子園)は3回無失点だったが、変化球中心の配球でリズムに乗れなかった。この日は一転して直球で押して上々のテンポ。5奪三振のうち、4個はファウルで2ストライクまでこぎつけたものだ。球威十分の直球にカットボールが加われば…。昨季はリーグ2位の186奪三振。トップの広島前田健に6個及ばなかったが、今季の初タイトルも現実味を帯びてくる。

 「自分のやれることをしっかりやって、シーズンに向かっていくだけ。これからいよいよ、というか、気が引き締まる。自分を信じています」

 次回は開幕1週間前の23日オリックス戦で最終調整に臨む予定。心はすでに30日の開幕DeNA戦(京セラドーム大阪)に向く。死角も見当たらない。進化する左腕が、オープン戦不振の和田阪神に「安心」を届ける。【酒井俊作】